ねずみ予防で未然に防ぐ。ねずみが嫌う家の特徴
ねずみの出る家と出ない家は何が違うのでしょうか。ねずみが出る家が「ねずみにとって都合の良い環境」であることは間違いありません。すなわち、暖かく、エサが豊富で、安全である。しかし、よく考えると、これは日本の住宅のほとんどに当てはまる条件でもあります。
にもかかわらず、ねずみが出る家と出ない家の別があるのは、ねずみが出る家は「ねずみの侵入を許してしまっている」というだけのことに他なりません。
そのため、ねずみ駆除業者に依頼すると、まず「ねずみの侵入を防ぐこと」から行われます。駆除と言うと、薬剤やワナを使用するイメージがありますが、それよりもむしろ「予防」的な作業が中心になります。薬剤やワナの設置は誰でも行えますが、予防の作業はプロでないと難しいものがあります。ねずみの被害に悩まされている人は、予防を目的に、プロの駆除業者に相談したほうが、近道になることも多いでしょう。
以下では、ねずみ予防とは具体的にどういうものなのかを、解説していきます。
ねずみの予防=「環境的防除」とは?
ねずみが家の中に入ってきてしまうと、さまざまな被害が発生するため、できれば侵入自体を予防するのが最善です。予防と駆除を合わせて、生物による被害が起こらないようコントロールを行うことを「防除」と呼びます。防除には大きく分けて3つの手法があります。
化学的防除 | 薬品などを用いて、生物を駆除したり、遠ざけたりする方法。 |
---|---|
物理的防除 | 捕獲器や罠などを用いて、生物を駆除したり、捕獲したりする方法。 |
環境的防除 | 生物にとって都合の悪い環境をつくりだし、生物の侵入や繁殖を抑える方法。 |
このうち、おもに予防的な役割を持つのが環境的防除です。プロの駆除業者は、薬剤やワナによる処置(化学的防除・物理的防除)ももちろん行いますが、実際は環境的防除を中心としています。
環境的防除の基本:ねずみが嫌う環境をつくりだす
ねずみの被害を予防するとは、すなわち、ねずみが侵入してこないような環境を整えるということに他なりません。平たく言えば、家が「ねずみが嫌う場所」になればいいのです。では「ねずみが嫌う環境」とは、どういうものでしょうか。それは、ねずみが何のために家の中に入ってくるかを考えればわかります。ねずみがわざわざ人間の住居に入ってくるのは、次のような目的があります。
- ・食べ物を求めて
- ・安全で暖かい場所に住むため
- ・巣をつくって繁殖するため
環境的防除とは、上記のようなねずみの目的に適さない環境をつくり出すことです。
とはいえ、その結果、人間にとっても不都合が出るような処置は現実的ではありません。たとえば、ねずみは寒さに弱い動物です。気温が10度前後になると、動けなくなり冬眠してしまいます。ですが、だからといって、暮している家の中の温度を10度以下に保つということはできません。実際に行うことができて効果的なのは「ねずみに食べ物を与えない」ことと、「巣作りをさせない」ことでしょう。言い換えれば、「食べ物が見つけにくい」「巣作りがしにくい」環境をつくることです。
ねずみが嫌う環境1:食べ物が手に入りにくい家
食べ物を求めての侵入は、ねずみが人間の家にやってくる最大の理由です。これを妨げることはねずみ予防のうえで大きな効果があります。
家の中から食べられるものをまったくなくすことができれば最善ですが、それも難しいでしょうから、「ねずみが食べ物に到達できないようにする」ことが目標となります。具体的には、次のような対処を行いましょう。
- ・食品を放置しない。必ず蓋つき容器や密閉できる戸棚などにしまう。
- ・しまう容器はダンボール箱やビニール袋は避ける(破られてしまうため)。
- ・仏壇の供えものや、ペットの餌の食べ残しなどもそのままにせず片づける。
- ・できれば鉢植えの植物なども置かないことが望ましい。
小さな体で激しく動くねずみは大量のエネルギーを必要とするため、1日に体重の4分の1~3分の1もの量の餌を食べます。クマネズミ(体重100~200g)でいえば35~50gの餌を食べなくてはならないということであり、それだけの食べ物が容易に見つからない家は、ねずみにとっては暮らしにくい場所だと言えます。
ねずみが嫌う環境2:巣材がなく、巣作りがしにくい家
人間の家の中に住みついたねずみは、家の中から紙・布・わら・ビニール・木などを集めてきて、巣をつくります。安全な場所(天井裏や壁の中など)にこれらの巣材を敷き詰めることで保温し、快適な環境づくりをするわけです。食べ物の場合と同様に、巣材を与えない工夫をすることが、防除となります。
- ・衣類のほか、タオルやシーツなどを含めた布製品はきちんと収納する。
- ・収納場所は蓋の閉まるプラスチックケースにする。
- ・押入れやタンスは密閉されていることを確認し、隙間などがあればふさぐ。
- ・不要な紙類・布類は放置しない。
以上のような対策が効果的です。
ねずみが嫌う環境3:入り込む隙間がない家
家の中の環境が、ねずみとって都合の良くないものであっても、家の外からふらりとねずみが入ってきてしまうことがあります。それは、「入り込む隙間や穴」が、家にはたくさん開いているからです。そのため、そうした侵入口をふさぐことで、防除は完成すると言えます。
ねずみがどういった場所から入り込むかは、詳しくはこちらのページを参考にしていただければと思いますが、「屋根のすき間」や「エアコンの排水ホースの導入部」「換気扇」などが多いです。
穴や隙間を塞ぐには、ホームセンターなどで手に入る一般的な品物を使った工夫で対応することができます。以下に例を挙げましたので参考にしてください。金網などは、ねずみの侵入対策のための専用の商品(防鼠金網)も市販されています。
品物 | 用途 |
---|---|
金網 | 通気口などに貼る。屋根の下と外壁の間の隙間に折って挿し込んでふさぐ。 |
スチールたわし | 小さな穴や隙間に詰めてふさぐ。雨戸の戸袋もこれでふさぐとよい。 |
パンチングパネル(小さな穴の開いた金属の板) | 換気扇などの表面に貼る。 |
不燃性のパテ、モルタル | エアコンの排水ホースの導入部や、配管の貫通部分、壁のひびわれ部分などを埋める。 |
駆除業者に依頼した場合、このような侵入対策が中心になります。自力で穴をふさぐことが難しいという人は業者に依頼することも検討してみてください。通気口などに張る金網もネズミ対策用のものを使用してもらえますし、パンチングパネルなどもキレイに張ってもらえます。エアコンの排水ホースの導入部や配管の貫通部分、壁のひび割れなど、自力では修理しにくい箇所も見逃さずに対応してもらえるので、業者に依頼したほうが、全体的にコスパがよい場合もあるでしょう。