子どもやペットがいる場合のねずみ駆除の注意点
家に出たねずみの駆除方法には、主に3つの手段が考えられます。
- 毒えさ(殺鼠剤)による駆除/殺す
- 粘着シートなどのワナによる駆除/捕まえる
- ねずみを追い出し、侵入を防ぐ駆除/追い出す
ねずみが出た場合、これらのいずれかを用いて駆除しなくてはいけませんが、小さなお子さん・ペットがいる家の場合、気をつけなくてはいけない点があります。ねずみにとって危険な毒は、人間にも他の動物にも危険であるということです。ワナもきちんと注意して使わなければ、怪我の危険がある場合もあります。
駆除業者を依頼したくても、家に子どもやペットがいるために、そういった点が気になっている人もいると思います。業者に関しては、そこはプロですので適切な形で対応してくれます。心配な点は事前に問い合わせてみるといいでしょう。
以下では、自分で駆除を行う場合、小さなお子さんやペットのいる家では注意すべき点をまとめてみました。
1、毒えさ(殺鼠剤)による駆除/ケースつきのものを使う、ペットや子どもがいる所には置かない
薬品名 | クマリン | ワルファリン | リン化亜鉛 |
---|---|---|---|
ねずみへの効果 | 抗血液凝固剤 内出血 |
抗血液凝固剤 内出血 |
胃液に反応して毒ガス発生 |
人体への影響 | 弱い 肝機能障害を起こす場合がある |
弱い 毛細血管が傷つく場合がある |
強い 胃液に反応して毒ガス発生 |
上に挙げたのは、市販の毒えさに使用されている薬品です。これらの薬は、人体への影響が低いと言われているものでも、小さなお子さん・ペットには危険なものとなる場合があります。
どうしても使わなければならない場合には、誤飲・誤食事故を起こさないためにも、いくつか準備をしてから使ってください。
具体的な手順としては、
- 置く部屋を決めておく。ほかの部屋からは食べ物をすべて片付ける
- ふたつきのケースに入れ、簡単に食べられないようにする
- 昼間家の中で放し飼いのペットなら、小屋に戻したり、部屋の外に出しておく
- ねずみの活動時間は夜。子どもの寝静まったあとに使い、朝には回収してしまう
- 翌朝、ペットを小屋から出す前に、毒えさが残っていないか確認する
といった点に注意して使用します。
- ・毒えさを置いた部屋には子どもやペットはけっして近づけない。
- ・子どもやペットのいる部屋には毒えさを置かない。
これらの点について徹底し、絶対にペット・子どもが食べないようにしてください。
特に「リン化亜鉛」は、他の薬品が効かなくなったねずみ(スーパーラットといいます)に対抗するために使われている、とても強力な薬です。
人間の大人でもほんの5g程度で死に至るといわれていて、劇薬に指定されており、ペットや小さなお子さんが食べてしまうのは、とても危険です。
2、粘着シートのワナによる駆除/ワナをしかけた部屋にはペットを入れない
毒えさ同様、粘着シートなどワナを使った駆除も、家の中で暮らすペットには大きな脅威です。毒えさを置く場合同様に、ねずみ用のワナをしかけた部屋にはペットも子どもたちも入れず、近づけないようにしましょう。
- 小動物のペットはワナを置いている間、絶対に小屋の外に出さない
- ワナを置いた部屋にはペットも子どもも入れない、近寄らせない
- 朝になったらシートを回収してしまう
粘着シートは上に乗ったねずみを逃がさないよう、強力な接着剤が塗られています。
もしハムスター・モルモットといった、ねずみの仲間である小動物がひっかかってしまった場合、最悪引きはがすことができないまま死んでしまうこともあり得ます。
犬猫のような大型の動物、人間の子どもの場合でも引きはがすときには大量の毛が抜けてしまうことがあります。更に病院で処置を受ける必要があるケースもあるなど、誤ってシートに張り付いてしまうと大変な苦痛を受けることになります。
また、粘着シートにかかったねずみが大型で力の強い個体であった場合、それをひきずったまま部屋の外に逃げてしまうことがあります。その場合、逃げている間に無理やりシートを引きはがしてしまうケースが少なくありません。
うっかり見落としていると予想外のところに粘着シートが落ちていて、子どもやペットが踏んで被害を受ける可能性があります。
枚数が足りないなど粘着シートを回収する際に異変を感じたら、他の部屋にシートが落ちていないかよく確認してください。
3、ねずみを追い出し、侵入を防ぐ駆除/超音波は厳禁、燻煙剤のあとは十分な換気を
ねずみを家から追い出してしまえば、毒えさもワナも置く必要はなくなります。
しかしその手段の中にも、使うのに注意が必要なものが存在します。それは、
- 超音波を出してねずみを追い払う機械
- 燻煙剤(煙で追い払うタイプの薬)
のふたつです。
小動物をペットに飼っている家庭では、これらの手段は使わないでください。
ハムスター・モルモットといった小動物の体は全般的に、ねずみと非常によく似た構造をしています。嗅覚と聴覚も優れているため、ねずみの嫌う超音波や臭いが同じように効果を発揮してしまいます。充分に換気をしたつもりでも煙の成分を敏感にかぎとってしまう場合がありますし、人間に聞こえない音でも、ねずみ同様に騒音として感じ取ってしまいます。
小さなお子さんのいる家庭の場合は、燻煙剤を焚いたあとにしっかりと掃除をすることが大切です。
植物からとられた成分が多数含まれているため、体質によってはアレルギーの原因となることがあります。ねずみが逃げ出す際に部屋の中にダニを撒き散らしていくこともありますので、燻煙剤の後にはすみずみまで掃除をしましょう。
ただし燻煙剤そのものは基本的に、人体への害がない素材でつくられています。
駆除業者に依頼をする場合には/子どもやペットがいることをしっかりと伝えよう
これらの注意点は、家庭で駆除をされる場合だけでなく、駆除業者が作業をする際にも言えることです。
特に、業者は家庭用のものよりも強力な使う道具・薬剤を使うこともあるので、お子さんがいる場合やペットを飼っている場合にはそのことをしっかりと伝えてください。あらかじめ伝えられてさえいれば、業者は使用する薬剤を変えたり、適切な処置をすることで事故を防いでくれます。子どもやペットがいる家は珍しくないので、その点は専門の業者であれば十分に心得ているはずです。