ゴキブリ駆除の薬って、子どもやペットがいても大丈夫?

ゴキブリの駆除には、

  1. 毒えさ
  2. 殺虫剤(噴射式・燻煙式)
  3. 粘着罠
  4. 業者への依頼

大きく分けて上記4つの方法が考えられます。

家庭用の毒えさ・殺虫剤は基本的に人体への害が少ない成分・分量でつくられていますが、小さな子ども・ペットがいる家庭の場合、使用時に注意が必要なものも存在します。プロの駆除業者に依頼する場合は、そのあたりも勘案して処置をしてもらえるのであまり心配はいりません。不安な方は事前に業者に相談してみましょう。

以下では、自分で駆除を試みる場合に、子ども・ペットのいる家庭で気をつけたい点を解説していきます。

1、毒えさ
ホウ酸団子には中毒の危険性あり

毒入りのえさを部屋に設置する駆除方法は、ゴキブリに対して非常に高い効果を発揮します。殺虫剤に対して耐性を持つ「耐性ゴキブリ」も、複数種の毒えさを組み合わせて使うことで駆除できる場合があり、ゴキブリに対するもっとも効果的な対策のひとつです。

薬品名 毒性 毒えさへの含有量
ホウ酸 人の原体致死量※は2000mg/体重1kg
誤飲により嘔吐・下痢・腹痛の症状
数%~数十%
フィプロニル 原体致死量※はラットで1500mg/体重1kg 0,05%程度
ヒドラメチルノン 原体致死量※はラットで1300~1500mg/体重1kg
魚類への毒性が強い
2~5%程度

※原体致死量=不純物のない100パーセントのその物質を摂取した際の致死量

上記は、ゴキブリ駆除の毒えさに利用される成分ですが、最も注意が必要なのはホウ酸を使った毒えさです。

ホウ酸は、食べさせることさえできればどんなゴキブリも駆除できます。しかし致死量が異なる以外、どの生物に対しても同様の効果を発揮する物質(無機物)のため、もしも誤飲してしまった場合には人・動物を問わず中毒を起こす危険性が非常にあります。

毒えさ・ホウ酸団子に配合される際には、数パーセントから数十パーセントと、他の薬品・成分に比べて非常に高い割合で含まれます。ホウ酸入りの毒えさを誤飲してしまうと、大量のホウ酸を体内に摂取することになります。

ホウ酸中毒を起こすと腹痛・嘔吐・下痢といった症状を引き起こすため、脱水症状にもつながりかねません。過去に死亡例もあり、体重の軽い幼児・小型犬・猫などは少ないホウ酸でも致死量を超えるケースがあります。

ホウ酸団子は家庭でも簡単に制作可能な毒えさですが、小さなお子さん・ペットのいる家の場合には、使用は控えてください

どうしても使う必要がある場合には、

  • ・絶対に子ども・ペットのいる部屋には置かない。
  • ・毒えさ・ホウ酸団子を置いた部屋には子ども・ペットを絶対に入れない。
  • ・見落とさないよう、発見・回収が容易な蓋つきの目立つ容器に入れて使う

といった点を徹底しましょう。子ども・ペットが遊ぶ可能性のある部屋には絶対に、残さないようにしてください。

2、殺虫剤(噴射式・燻煙式)
アレルギー原因になる場合も。使用後の掃除を徹底

市販のゴキブリ用殺虫剤には「ピレスロイド」系という、虫が嫌う植物・除虫菊からつくられた成分が使用されています。害虫には高い効果を発揮する一方、哺乳類への毒性が非常に少ない特徴(選択毒性)を持ち、殺虫剤での含有量では、人体への影響がまったくありません。

しかし植物由来の成分のため、体質によってはこの「ピレスロイド」がアレルギーの原因となる場合があります。目のかゆみ・ぜんそく・くしゃみ・皮膚の紅潮といったアレルギー症状が現れた場合には即座に使用をやめて、医師の診断を受けてください。

部屋中に煙を放出する燻煙式殺虫剤の場合、ダニも一緒に殺していきます。ダニの死骸もまた、アレルギーの原因となってしまいます。日本でのアレルギー性ぜんそくの原因の約7割がダニの死骸によるハウスダストです。

燻煙剤使用中に部屋へ子どもを入れないのはもちろん、使用後も30分以上換気を行い、すみずみまで掃除をしてから入るようにしてください。

番外編:虫の嫌う植物、除虫菊とは

シロバナムシヨケギクという和名の、コスモスによく似た花をつける菊です。原産国は地中海・中央アジアで、セルビア共和国で発見されました。

日本への流入は1886年で、第二次大戦前までは日本が世界最大の観賞用除虫菊生産地だったのです。

胚珠の部分に殺虫効果を持つ『ピレスロイド』の成分を持っており、その粉末は蚊取り線香の原料にもなっています。

蚊・ノミ・ハエといった害虫への効果が高い一方、哺乳類・鳥類にはほとんど毒性がなく、18世紀には既にヨーロッパで農薬利用が行われていました。

現在ではこの除虫菊のピレスロイドと同じ駆除効果を化学合成で再現した、合成ピレスロイドが幅広く使われています。

3、粘着わな
小動物はひっかかる危険性。散歩させる部屋には置かない

ハムスターなど、小動物のペットを飼っている家庭では、ゴキブリ用の粘着わなの使用にも注意が必要です。

粘着わなに誤ってひっかかってしまった場合、引きはがすのは大変難しく、最悪の場合にはそのまま衰弱死してしまうことも考えられます。

家庭で飼われる小動物には好奇心が強いものが非常に多いため、部屋に放す際には必ず、粘着わなが残っていないか確認したうえで出すようにしてください。

小さなお子さんの場合も、粘着わなに手を入れて、かかったゴキブリに触ろうとすることがあります。ゴキブリの体はサルモネラ菌をはじめとする病原菌が多数生息しており、大変不衛生です。けっして触らないよう、幼児が遊ぶ部屋からも完全に粘着わなを回収するようにしましょう。

4、駆除業者へ依頼
子ども・ペットの存在を必ず伝える

ゴキブリ駆除業者に依頼してゴキブリ退治をする場合、家にお子さん・ペットがいることは必ず伝えるようにしてください。

業者の使う毒えさ・殺虫剤には市販の薬品よりも強力なものが多く、誤飲・誤食が起きると大変危険です

  • ・お子さんの年齢
  • ・ペットの種類
  • ・毒えさ・殺虫剤を使っても問題ない場所、使わないでほしい場所

これらをしっかりと伝えて、害の無い方法で駆除してもらうようにしましょう。業者はプロなので、小さな子どもやペットがいても、きちんと駆除できるノウハウを持っています。

ページの先頭へ