ゴキブリの研究室

一見、カブトムシやクワガタのような甲虫類にも似て見えるゴキブリですが、学術的には直翅目という種類になり、これはバッタやカマキリ、コオロギの仲間だと言えます。世界には約3000~4000種ものゴキブリがいるとされています。このうち、日本には50種程度いるとされていますが、人家の中で見かけるのは、ほとんどが「チャバネゴキブリ」と「クロゴキブリ」のいずれかです。一般家庭にはクロゴキブリが、店舗などにはチャバネゴキブリが多いとされていますが、一般家庭にチャバネが出ないわけではありません。

それぞれの特徴をまとめました。

チャバネゴキブリ

成虫の体長 1~1.5cm程度
黄褐色で、背中の前方に2つの黒い斑点が対になるように存在します。幼虫は黒っぽい色をしていて、背中が淡い黄褐色です。
雄が細長く、雌はやや丸みがかっています。
生育期間 雌は一生の間に4~5個の卵鞘を産み、1度につき40個ほどの卵が入っています。単純に考えて、雌の成虫1匹につき多くて200匹ほどのゴキブリが増えるということになります。
卵は孵化直前まで、メスが体の後方(腹部)のあたりにくっつけたまま生活します。卵が孵化するまではおよそ20日間、幼虫から1~2ヶ月程度で成虫になります。
寿命 発生時期は通年で、低温に弱いため野外では冬を越すことはできません。-5℃に一日さらされると死亡します。
成虫になってからの寿命はオスで3ヶ月程度、メスは5ヶ月程度で、チャバネゴキブリの寿命は長くても7ヶ月程度ということになります。ただし、これは最も過ごしやすい25℃での寿命であり、環境によって寿命は変化します。
生息場所 冷暖房が完備されたビル内によく生息しています。特に飲食店厨房内には多い所では何万匹という数のゴキブリが生息いることがあり、家屋内に住み着く害虫の中でも最も代表的なものです。
隙間が生息場所となり、5mm程度の隙間を最も好みます。電気器具の中や、配電盤、FAXや電話機の中や炊飯器の背面部などにも入り込みます。
分布 熱帯性のゴキブリで、暖かく、湿り気のある場所を非常に好みます。近年、温暖化が進み、気候が熱帯化してきている日本は、チャバネゴキブリが住みやすい環境になっていると言えます。また、室内も空調設備の使用で高温状態になる場所が増えており、チャバネゴキブリが繁殖しやすい環境に一役買ってしまっています。
アフリカ原産と言われていますが、世界中に広く分布し、日本でもほぼ全国に分布しています。ただし、沖縄、奄美大島以外の南西諸島や佐渡島、壱岐島ではまだ発生の記録はありません。
その他 成長が早く、繁殖能力にも長けているため、少しの油断で爆発的に増えてしまうのがチャバネゴキブリの恐ろしいところです。世代交代も早いので薬剤に対する抵抗性もできやすいといえます。
ある飲食店にてチャバネゴキブリの駆除を行った際、およそ2万匹駆除したという記録も残っています。殺虫剤にも耐性を持った個体まで出現し、駆除するには非常に難しくなってきています。
また、「チャバネ」と名前に「羽」が入っているので、飛翔能力がありそうに思えますが、実際は飛べないというのがチャバネゴキブリの特徴の1つです。

クロゴキブリ

成虫の体長 2~4cm程度
光沢のある黒褐色をしています。幼虫は黒色で、背中に白色の線があります。成熟幼虫期(成虫になる前の幼虫)は赤褐色をしています。
成熟幼虫期(成虫になる前の幼虫)は赤褐色な上、成虫よりも小振りであるため、一見チャバネゴキブリと間違えられがちです。
生育期間 発生時期は6月~11月にかけてで、卵が孵化するまではおよそ40日間です。幼虫から成虫になるまで2~3ヶ月かかります。
チャバネゴキブリとは違い、雌は孵化する1ヶ月ほど前に、電化製品の裏や物置にある段ボールのような、比較的安全な場所に卵を産み付けます。1回につき20~30匹の幼虫が孵ります。
寿命 成虫になってからの寿命はオスで8ヶ月程度、メスは1年半程度で、クロゴキブリの寿命は長くて1年8ヶ月となります。チャバネゴキブリに比べるとはるかに長いことがわかります。(最も過ごしやすい25℃での寿命です。)
生息場所 一般のご家庭や屋外で最も多く見かけるゴキブリです。もともと野生種であり、下水道や浄化槽に多く生息しています。特に、ゴミ箱やゴミ置き場付近や民家の床下、樹木の隙間など、外の環境で多く見られます。
分布 中国南部が原産地と言われ、熱帯から亜熱帯にかけて世界に広く分布しています。日本国内においても本州を中心として分布。 暖房の普及に伴って分布が拡大され、現在では北海道にまで定着してしまいました。
その他 羽があり、短距離であれば飛ぶことができます。そのため、屋外から侵入してくることが多いゴキブリです。耐寒性は他のゴキブリよりも強いですが、17℃以下では活動が鈍ります。

その他のゴキブリ

代表的な2種以外のゴキブリとしては、アフリカ原産と言われ、日本では九州地方を中心に今では全国に分布する「ワモンゴキブリ」や、九州地方・島嶼部などに生息する「トビイロゴキブリ」、日本の土着種である「ヤマトゴキブリ」、主に屋外に生息する「モリチャバネゴキブリ」などがあります。

以下に国内のゴキブリ種を一覧でまとめました。

ゴキブリ・データベース

ゴキブリ発生リスク調査

「ゴキブリ駆除マイスター」では、2014年以降、当サイトへのご相談件数を都道府県別に集計し、それをもとに「ゴキブリ被害の件数の多さ」を「ゴキブリ発生リスク」として発表しています。

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