イラスト図解!蜂に刺されたときの応急手当とNG対処例

どんなに気をつけていても、蜂に刺されてしまう事態というのは起こり得ます。もしも刺されてしまった場合、どのような対処が必要になるのか、ここではその方法についてわかりやすく解説しましょう。

蜂に刺されてしまった場合の、おおまかな処置の流れは次のようなものです。

1・速やかにその場から離れる 蜂のいる場所から遠ざかり、まず、安全を確保します。
2・傷口を洗い毒を絞りだす 患部には蜂の毒が残っていますので、これを取り除きます。
3・傷口に薬を塗り、傷口を冷やす 刺された傷口は、薬の塗布と、冷却が適切な対応です。
4・早めに医療機関を受診する 医療の専門家に診てもらってください。特にショックの兆候があらわれたら至急、受診を。

処置の第一歩~まず退避して安全を確保

蜂に刺されてしまった場合、最初に行うべきは、さらなる被害を防ぐために、安全を確保することです。

刺したのが1匹だけで、もうどこかに行ってしまった場合でも、野外で刺された場合、近くに蜂の巣がある可能性があります。蜂の毒液は警報フェロモンのはたらきも持っており、仲間の蜂に「ここに敵がいるぞ」ということを知らせる作用があります。その場にとどまっていると、他の蜂が集まってきて、さらに刺されてしまうこともあるので要注意です。そのため、できるだけ遠く(最低でも10~20メートル以上)、可能なら蜂のいない屋内などへ退避したほうがいいでしょう。

このとき、激しい動きで逃げると、かえって蜂を刺激してしまうので逆効果です。落ち着いて、ゆっくりと退避しましょう。その後、上に挙げた2~3の処置を行います。

患部から針を取り除き、毒を流す

刺した蜂がミツバチだった場合、患部に針が残ったままになっていることがあります。これはできるだけ早く取り除きたいところですが、ミツバチの針は毒嚢と呼ばれる毒液の入った部分もつながったまま刺さっています。これを、指で摘まんで取ろうとすると、毒嚢を圧迫してしまうことになり、結果として毒が傷口の中にさらに入り込んでしまいます。

そのため、針を取り除くときは、毒嚢を圧迫しないよう、そっと針の部分を持って引き抜くのが最善です。毛抜きやピンセットのようなものがあればやりやすいですが、そういった手持ちがないときや、難しそうであれば、硬いカード状のもので横に払うようにすると安全に取りやすいでしょう。

やってはいけない対処 適切な対処方法
針の抜き方・よくない例 針の抜き方・よい例
残っている針を摘まんで抜きとる。 カード状のものなどで横から払うように針を取り除く。

その後、流水で患部を流してください。蜂に刺されると激しく痛むはずです。それは蜂の毒のせいですから、傷口から毒の成分を流すのがいいのです。傷口の周囲をつまんで、血とともに毒を絞り出すといいでしょう。

このとき、口をつけて吸い出すのは薦められません。蜂の毒を口に入れてしまうことになるからです。飲み込んでもただちに害があるようなものではありませんが、歯茎などから毒が侵入する可能性もあります。

毒を吸い出すための、専用の吸引器(リムーバー)が、アウトドア用品店などで手に入ります。野外によく行く人はもしもに備えてそういったものを準備しておくのもよいでしょう。

やってはいけない対処 適切な対処方法
毒の取り除き方・よくない例 毒の取り除き方・よい例
口で毒を吸い出す。 専用の吸引器(リムーバー)を使うか、患部を絞って毒を取り除く。

薬を塗って患部を冷やす

毒を吸い出した後は、薬があれば塗ってください。抗ヒスタミン系成分を含むステロイド系軟膏が適しています。一般に虫刺されの薬として市販されているものは、この成分を含んでいることが多いでしょう。

抗ヒスタミン成分とは、一般的にはじんましんやアトピーなどの症状緩和に使用されるもので、痒み止めの効果があります。ステロイド成分は、「副腎皮質ホルモン薬」とも呼ばれ、炎症やアレルギーを抑える働きがあります。蜂を含む虫刺されの症状は、虫の毒による一種のアレルギー反応ですので、これらの成分によって症状がやわらぎます。薬を塗った後は、患部を冷やすと、痛みがやわらぎます。保冷剤などをガーゼに包み、患部にあてるとよいでしょう。

ところで、「蜂に刺されたらおしっこをかけるといい」という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。これは俗説で、効果はありませんので、行うべきではありません。尿をかけると傷口が雑菌に感染する可能性がありますので、避けてください。これは、尿の中のアンモニアが効果があると信じられていたため広まった、一種の民間療法ですが、現代では蜂の毒はタンパク質であり、アンモニア水でも中和することはできないことがわかっています。

やってはいけない対処 適切な対処方法
刺された後のケア・よくない例 刺された後のケア・よい例
おしっこをかける。 虫刺されの薬を塗り、患部を冷やす。

できるだけ早めに医療機関へ

以上は、あくまでも応急的な処置です。できるだけ、医療機関を受診してください。皮膚科が適切です。特に、ショック症状が出始めたら大至急、医療機関へ。具体的には次のような兆候です。

自分でわかる症状(自覚症状) 他人から見てわかる症状(他覚症状)
・口内の異物感
・口内の痺れ
・ものが飲み込みにくい(嚥下困難)
・息苦しさ(呼吸困難)
・両手足の痺れ
・息切れ・動悸
・悪寒
・耳鳴り
・くしゃみ
・めまい
・けだるさ
・腹痛
・尿便意
・肌の紅潮
・肌の腫れ
・じんましん
・身体のむくみ
・息が苦しそう(呼吸困難)
・肌が青紫色になる(チアノーゼ)
・失禁
・意識がない

ショック症状があると、最悪の場合、生命にもかかわります。蜂毒で起こるショック症状、アナフィラキシーショックについては、こちらのページで詳しく解説していますので、参考にしてください。

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