蜂に巣をつくられやすい場所

蜂の種類によって、巣をつくるのに好む場所があります

蜂を駆除する場合、1匹1匹を退治していっても駆除が完了したことにはなりません。その蜂がやってきた巣を見つけ出して撤去しないことには、冬になって蜂が活動をやめるまで、被害の起きる危険性はつきまといます。

スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチ、いずれの蜂にも、好んで巣をつくる場所があります。
ここでは、蜂が巣をつくるのに好む、つくられやすい場所について、その種類ごとに解説していきます。

スズメバチが巣をつくる場所/オオスズメバチ:土の中、途中で引っ越す種類の蜂も

巣や群れが大規模化する傾向にあるスズメバチは幼虫を育てるために必要な餌の量も膨大です。
近年は都市部でも見られるようになってきていますが、基本的にはスズメバチの仲間は山間部や森林といった、餌の昆虫を確保しやすい田舎に多く巣をつくります。
これらの巣には、

  • ・幼虫を育てる板状に並んだ巣穴(巣盤)
  • ・全体、あるいは一部を外壁で覆う
  • ・外壁は水をはじく

といった共通点があります。

種類 巣の特徴
オオスズメバチ 山林内の、土の中・木の根元といった場所に巣をつくります。
一見しただけでは巣があるとわからない場合が多く、登山客が気付かず近付いてしまい、蜂からの攻撃を受ける例が多発しています。
キイロスズメバチ
(ケブカスズメバチ)
テレビなどでもよく見る、全体を壁で覆ったボール型の巨大な巣をつくります。
その規模はスズメバチの中でも最大級で、性格の狂暴性と相まって近付くのは非常に危険です。オオスズメバチと比べて、都会に巣をつくるケースも多くみられます。更に、キイロスズメバチは群れが大きくなるにつれて、巣を引越しする(新しい巣をつくる)こともあります。
女王蜂とわずかな働き蜂しかいない間は樹洞・床下・屋根裏などの民家を含む閉鎖的な空間につくることが多く、働き蜂の数が膨大になってくると樹上や軒下といった、巣の拡大や出入りがしやすい開けた場所にあたらしく巣をつくります。
ヒメスズメバチ スズメバチの仲間の中でも、最も小さな巣をつくる種類です。
主食にしているアシナガバチと営巣期間がよく似ていて、ほかのスズメバチに比べて巣や被害が報告される時期が短いのも特徴です。閉鎖的な場所を好んで釣鐘型の巣をつくり、民家では屋根裏部屋や物置、戸袋の中に侵入してコロニー(群れ)を形成していきます。
変わったところでは屋外に放置された粗大ごみ(家具)の中や、水道メーターの中に営巣していた例もあります。
コガタスズメバチ オオスズメバチとよく似た外見が特徴のの蜂です。開放的な場所に巣をつくることが大半であり、特に樹木、

1、 風の影響を受けにくいところに太い枝がある(高すぎない)
2、 葉で雨風を常に防ぐことができる(常緑樹である)

といった種類の木を巣の場所に好みます。
民家では、雨風を防ぐことのできる軒下に巣づくりを行うケースが多く、その場合は人の生活圏に入ってくる恐れがあります。
巣の形は、女王蜂のみの時点ではトックリを逆さにしたような形状をしていますが、働き蜂が生まれ巣の規模が大きくなるにつれ、ボール型の一般的な巣の形に改築されていきます。
モンスズメバチ モンスズメバチは、狭い密閉された空間に好んで巣をつくります。
屋外なら樹洞を中心に、民家であれば天井裏・壁のすき間、戸袋の中に巣をつくるケースが多くみられます。
巣の規模が大きくなり手狭になると、引っ越しをすることもわかっています。逆に、1度巣をつくられた場所には何度も同じように蜂がやってきて、何年も続けてすぐそばに新しい巣をつくっていく習性もみられます。
クロスズメバチ 全身の黒い部分の面積が、ほかの蜂よりも多いスズメバチです。主に、地中に巣穴をつくります。
凶暴性はあまり高くないため、近寄らない限り危険性は低いですが、地方によってはこのクロスズメバチを食用に養殖している地域も存在します。
このため、茂みの中に手を入れた結果、たまたまそこにいた蜂を驚かせてしまい、刺されてしまうというケースもあります。

アシナガバチが巣をつくる場所/都市部に多く場所を選ばない。子どもの手が届く所にも

アシナガバチの仲間は、スズメバチ・ミツバチに較べて人間の生活圏内にも頻繁に巣をつくるのが特徴です。
本州には8種類のアシナガバチが生息していますが、巣の外見で共通しているのは、

  • ・スズメバチ・ミツバチのものに比べると巣穴の数が少ない。小規模である
  • ・幼虫の巣穴が剥き出しになっている
  • ・外の開放的な場所に多い

という点です。
巣は都市部でもよく見られ、街路樹・植え込みばかりか、民家のちょっとした庭やベランダ、屋外の蛇口や建物の外壁そのものにも巣をつくっていくことがあります。子どもでも手が届くような、低い場所に巣ができている場合もみられます。好奇心旺盛な子どもが蜂の巣に手を出してしまったり、興味本位で蜂の巣に近づいただけで刺されてしまったケースも少なくありません。

また、1度巣を撤去しても、生き残りがいるとそこに戻ってきてまた新しい巣をつくります。殺虫剤やネットで巣をつくることができなくなっている場合でも、その付近に集まって居座ることがあります。

自力で対策をしたのに再度巣を作られてしまった、蜂の数が減らないなど、どうにもならない場合は速やかに業者に駆除をお願いしましょう。子どもが危険な目に合う前に、徹底した蜂、蜂の巣の駆除を依頼することをおすすめします。

ミツバチの営巣場所/木の洞や床下の狭いすき間。天井裏・壁裏で大量発生例も

日本にいるミツバチは、

  • ・ニホンミツバチ
  • ・セイヨウミツバチ

の2種類です。養蜂場などで飼育されているものは大半が輸入されてきたセイヨウミツバチですが、特に野生に多いのは日本古来からの種であるニホンミツバチです。

いずれもこちらから手を出さない限り刺すことは少ない蜂ですが、ひとつの巣における個体数が膨大なため、巣に近づき敵とみなされた場合、多数の蜂が一度におそってきます。
持っている毒の量はわずかなものの、毒の強さはスズメバチ以上に強力なため、多数に刺されると非常に危険です。

巣の場所は基本的に密閉空間で、巣に外壁をつくらず、板状に並んだ巣穴(巣板)が剥き出しになったものを空間いっぱいにつくっていきます。養蜂場で蜜をとるのに使われる養蜂巣箱は、この習性を利用したものです。
野生種はさまざまな場所に入り込んで巣をつくります。民家の天井裏や壁のすき間に入り込んで、驚くほど大きな巣をつくっている場合があり、

  • ・天井にシミができたので屋根裏を開けると、巨大な巣から蜜がしたたり落ちていた
  • ・ひとかかえほどある壁板をはがしたところ、裏側一面につくられた巣が発見された

という事例も報告されています。

十分な装備・知識なしに巣に近づくのは危険/探す場合はけっして深入りしない

これらの巣の場所は、駆除業者でもつくられた位置によっては特定が困難な場合があります。飛んでいる蜂の行き先や、周囲の蜂の数から経験をもとに探す以外、方法がないこともあるのです。

ですので、おおまかに巣の位置へ見当がついたとしても、けっしてそばには近寄らないでください。
複数の蜂が同じところを何度も飛んでいる場合、その付近に行くのは危険です。
遠目には見えなくても、茂みの中や地中・壁の中に、巨大な巣穴が埋まっていることがあり得ます。詳細な巣の位置を自力で探し出そうとはせず、呼んだ駆除業者やボランティア・自治体の方に「あの辺りにたくさんいる」と伝えるだけで十分ですので、絶対に近づかないようにしてください。

蜂の巣を探し出すのはプロの業者に任せて、安全な場所に避難しておきましょう。

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