シロアリの薬ってホントに安全?

シロアリの駆除には薬剤を使用します。そこで気になるのが、薬剤の安全性についてです。毎日生活する住まいに対して使用される薬剤ですから、人体に害がないかどうかは重要なポイントです。シロアリ防除・駆除に使用される薬剤とはどんなものか、またその効果と現在一般的に使用されている薬剤の安全性について確認していきましょう。

シロアリ駆除に使用される薬剤

シロアリはアリと言っても、ゴキブリ目にあたるため、駆除には効力の強いものを選ぶ必要があり、昔の中国ではヒ素を使用していました。ヒ素は毒性も高く巣全体に効き目がありますが、人体にともすれば多大な影響を及ぼすことから近年では使用されていません。

現在は有機リン系化合物やピレスロイド系化合物の殺虫効力を強める薬剤として知られるS-421等が使用されていますが、環境や安全性の面からマイクロカプセル化、低臭化など安全性を考慮した工夫がされています。この他、ヒバの木の抽出液などの使用も検討されています。

具体的に、使用される薬剤の各々の性質・特徴・注意点などをあげてみましょう。

【ネオニコチノイド系】
シロアリ駆除薬剤として一般的に市販されている製品に含まれている成分です。臭いが少ない木材防腐薬剤の一つ、ハチクサンもこの分類にあたります。人体への毒性が低く、昆虫に対して毒性を見せます。農薬散布用の薬剤として、世界各国で使用されています。安全性の高い薬剤と言えます。注意点としては、有機リン系の物質と併用した場合、頭痛や湿疹などが生じる危険性がありますので注意が必要になります。胎児の脳にも影響を与えるという説もありますので、できる限り少量で単独使用する必要があります。

【ピレスロイド系】
長所は即効性です。その分、先にも述べたように殺虫効力が高いため注意も必要です。薬液や薬剤の成分表に記入されている「ピレトリン」と呼ばれる、天然の菊に含まれる有効成分を化学合成して薬品にしたものです。蚊取り線香にも含まれている成分で、特徴は持続効果が期待できるところです。天然系薬剤の使用の際には、アレルギー反応による喘息が起きる可能性もありますので、薬剤散布の際には十分注意する必要があります。

【カーバメイト系】
殺傷力の高い成分です。殺虫以外にも人体にも毒性がありますので、換気を十分に行い、使用する必要があります。この毒性の高い薬剤はマイクロカプセル化されていますので、子どもの誤飲には十分気を付ける必要があります。

【フェニルピラゾール系】
この薬剤は極めて高い殺虫効果のある薬剤です。緩やかに作用して、強い殺虫効果がありますので、シロアリの巣に対して効力が発揮します。非常に強い薬剤ですので、人畜・魚類への毒性が高くなり、正しい使用法・用量を守ることが必要です。

【フェニルピロール系】
この薬剤は、グルコースの吸収を阻害することによって、細胞を飢餓状態にさせる薬剤です。遅効性が有り、高い殺虫性能を持っています。細胞の変化を促す薬剤になりますので、乳幼児や妊婦のいる家庭で使用する場合は、限定的に使用する必要があります。

【ホウ素化合物】
一般的に「ホウ酸」と言われている薬剤です。ホウ酸は食塩のようなもので、目薬にも使用されているほどの、安全性の高い薬剤になります。腎臓の無い生物にはホウ酸を体内で処理できないため、過剰摂取による餓死効果があります。ペットや子供が間違えて誤飲しないように、使用量には十分な注意が必要ですが、哺乳類への毒性は極めて低い薬剤と言えます。

【ヒノキチオール】
ヒバ油などに含まれる「ヒノキチオール」はシロアリに対する忌避効果があります。木材由来の良い匂いで、匂いを嗅いでも人体に影響はありません。木部用の薬剤としては、駆除効果はあまり期待できないため、シロアリ予防向けと言えます。

薬剤の安全性を確保するには?

以上のように、シロアリ駆除に使用される薬剤は、それぞれ毒性を有しています。シロアリという生物を殺すために使用されるのですから、当然とも言えますし、ですから、人間にとってもまったくノーダメージというわけにはいきません。

しかしながら、人間に使用される医薬品であっても、用法容量を守らなければ危険性があるように、駆除という一定の効果を望む以上、どんな危険性も排除するということはできません。

そこで重要なのは、薬剤そのものの性質もさることながら、適切な使用方法をとるということです。

薬剤を散布するためのポンプの圧力や施工方法、散布使用量、薬剤の剤型によって気中濃度は大きく変化します。農業で作物に使用される薬剤に比べると、面積当たりの使用量が相当多量になります。使用濃度も農業での散布濃度に比べて非常に高いので、施工者が適切な知識と技術を持って施工していくことが必要でしょう。

散布が適切に行われたとしても、薬剤が人体や家内の食物などに直接影響しないような配慮は必須となります。特に施工する家庭に妊婦・子ども・高齢者・ペットがいる場合は十分すぎるぐらいの注意が必要です。

こうしたことを踏まえると、安全にシロアリ駆除を行うのは、信頼できる業者に依頼することが確実と言えます。

業界団体に加入し、業界認定の資格を有する業者は、一定の専門知識があり、薬剤の取り扱い方法を心得ています。また、業界団体ではより効果的で安全性の高い薬剤の認定や、使用方法のガイドラインを定めていますから、それに従っている業者のほうが安心感はあります。薬剤に危険性がある場合、その影響をもっとも受けるのは、施工をしている業者自身です。ですので、業界側の安全基準は信頼性があると考えて差支えないでしょう。

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