駆除業者は何をしてくれるのか?

シロアリ駆除を専門業者に依頼した場合、具体的にはどんなことをしてくれるのでしょうか。依頼から駆除までの流れや、プロの業者による駆除方法についてなどを整理しました。

シロアリ駆除の専門業者に依頼した場合の流れ

駆除の依頼は、おおむね以下のような流れで進みます。状況や業者によって異なる場合もありますが、基本的には似通ったものになるでしょう。

(1)無料相談
ほぼどの業者も状況の相談の場合、無料で受付してくれます。

(2)事前調査
業者が訪問して、シロアリの種類や被害状況などの調査を行います。

業者が実際に家の床下他建物全体を点検、目視できる箇所を点検、シロアリの兆候・被害の有無を確認します。カメラで撮影した写真を見ながらの状況報告・確認があります。駆除を行う場合、どのような方法・手順になるかの説明もあるでしょう。

住宅の状況・将来性などを鑑みて、予算に合わせた見積書が作成されますが、見積書の作成は業者が一度持ち帰って後日となる場合もあります。当日または後日に、見積書などをもとに実際に依頼するかどうかを検討し、実際に依頼するとなれば本契約を行います。

(3)工事前説明・養生
当日、あらためて工事の目的や工事箇所・方法などの説明が行われます。説明は見積もりの段階で済まされていることもあります。

施工の前に、キッチンや洗面所等に床下収納庫があれば、そこを入口として確保し、シートによる養生を行います。床下収納庫がない場合は、点検口を別に作るか、または、和室の畳をあげて床板を外して入口を確保します。和室から床下に入る際は、畳を一枚あげて下に貼ってある薄い板を切断します。

(4)施工
実際に駆除作業を行っていきます。工法の詳細は次の項目で詳しく見ていきます。作業時間は被害の大きさや構造などによりますが、床下・被害部・玄関などのシロアリ駆除を行い、多くの場合は2時間~1日程度で完了します。

その後、家財を元に戻し、機材の片付け、清掃、完了後工事箇所・内容の確認・状況の報告をして終了です。

(5)アフターケア
ベイト工法の場合は定期的な点検・メンテナンスが必要です。無料点検やその案内を定期的に送付してくれるところもあります。多くの業者は5年間の保証付きで、その間に万一再発があれば無償で対応してくれます。

専門業者のシロアリ駆除の方法

では次に、専門業者がどのような方法でシロアリの駆除を行うのかを見ていきます。

方法は大きく2種類あります。薬剤処理工法とベイト工法です。

薬剤処理工法

薬剤処理工法は、シロアリに対して効果のある薬剤を使用するもので、土壌に対して薬剤を散布する土壌処理と、建物そのもの(正確には建物の木材の部分)に対して行う木部処理とがあります。

・土壌処理

建物の基礎の内側や束石の周囲、その他シロアリが通過する恐れのある土壌を薬剤で処理します。土壌表面に薬剤を散布し防蟻層を形成します。最近では、防蟻効果の他に土壌からの水分蒸散防止を目的とした土壌被膜形成工法やシート工法も採用されています。

使用する薬剤は普通施工とマイクロカプセル剤として製剤化した薬剤を使用する場合とがあります。マイクロカプセル剤とは安全性がより高く、優れた殺蟻効力を有する「クロチアニジン」をマイクロカプセル剤として製剤化し、環境への負荷軽減を考慮されたものです。薬剤の有効成分を小さなカプセルに入れ、そのカプセルを水に分散した製剤のことをいいます。マイクロカプセル化により、土壌への残効性を高めシロアリの体表に付着しやすくし、予防・駆除への効果と持続性をより高めています。施工方法は普通工法と同じです。

発泡する薬剤を使用する「発砲工法」もあります。薬剤を泡状にして、床下の隅々までムラなく行き渡らせることができる工法です。床下が狭く人が入れない場所等への施工も多く行われています。

・木部処理

木材表面に薬剤を、噴霧器で吹き付け処理するか、刷毛等で塗布する方法、木材や壁体に穿孔して薬液を注入する方法があります。新築の場合、木口、切り欠き、ボルト穴、仕口、接合部、コンクリート接触面等は特に入念な処理をします。シロアリは土壌から家に上がってくるため、木部処理の処理箇所となるのは地面から1mまでの部材が中心です。浴室回りの部材、洗面所や台所等の水回り部分の木材土台、大引、根太、壁内の柱などにも行われます。

薬剤について

(1)エアゾール剤
もっとも簡易に作業ができますが、エアゾールは容量が少ないため、広範囲への駆除作業や予防処理には向いていません。部分的な駆除に適しています。

(2)液剤
液剤には、原液で使用するもの、水で希釈して使用するものがあります。散布できる量が多いため、「駆除」だけでなく「予防処理」にも向いています。噴霧器を用いて処理します。

※市販されている液剤はピレスロイド系のものが多く、この成分に対してシロアリや多くの虫は嫌がって逃げてしまいます。散布した際にシロアリが駆除されず逃げてしまうことがあるので、液剤はシロアリが生息する所に的確に散布するなど技術が必要です。

(3)粒剤
粒剤は駆除ではなく「予防用」として使用します。液剤に比べると臭いの問題は解消されますが、散布作業は手間がかかります。

ベイト工法

シロアリの駆除剤を混入した餌(ベイト剤)をシロアリに摂食させて、シロアリの集団を死滅させる方法です。

ベイト工法は、あらかじめシロアリの好む餌(薬剤は入っていない)を入れたモニタリングステーションを地面 に埋め、シロアリを発見したときにベイト剤をセットする方法と、ベイト剤を入れたベイト・ステーションをシロアリが生息している箇所に限定的に設置する方法とがあります。おもな設置場所は建物外周・土壌への埋設、床下となります。食べさせなければ効果は得られないため、シロアリの活動している適切な場所に設置する必要があります。

どのような方法、薬剤を使用するかは業者により異なりますので、気になるようであれば現地調査の際や見積もりの段階で質問するとよいでしょう。

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