シロアリ駆除の費用相場

シロアリ駆除を業者に依頼すると、費用はどれくらいになるでしょうか。シロアリ駆除の費用は、原則として、家の建坪をもとに見積もられます。この面積が広いと、それだけ多くの薬剤が必要になりますし、業者の作業量も増えるためです。そのため、「坪単価」という形で料金が提示されているのが一般的です。

相場としては、

坪あたり6,500円~8,500円

程度が主流です。20坪の家だとすると13~17万円ということになります。5年間保証というところが多いので、年あたり3万円前後と考えればいいでしょうか。

単価が平米(平方メートル)で表記されることもあるので注意してください。1坪は約3.3平米になりますので、平米あたりですと約2,000円~2,600円程度になります。

相場としては上記の通りですが、実際は、業者により料金の幅があります。値段の違いは何によるものなのか、ひもといていきましょう。

値段の違いは何の違い?

業者ごとに異なる坪あたりの単価の違いは、「使用する薬剤の違い」と「作業内容の違い」によって決まります。

(1)使用する薬剤の違い

シロアリ駆除の中心的な作業は、土壌や建材に対しての薬剤の散布です。一口に薬剤と言ってもいろいろありますから、この薬の価格差が、費用に影響するのは当然です。また、シロアリ駆除の薬剤は原液を希釈して使用するため、この希釈率によって実際に消費する薬剤の量が変わってきます。

どんな薬をどの程度使用するかは、業者ごとにノウハウがあり、現場の状況を踏まえて決定されます。業界団体である公益社団法人日本しろあり対策協会では、数ある薬剤の中から、効果があり、かつ人体への安全性などを配慮して、認定薬剤を決め、使用方法のガイドラインを提示しています。

人間やペット・家畜に使用する医薬品は「薬事法」で、農薬は「農薬取締法」で規制されていますが、シロアリ駆除に使う薬剤については明確な規制法がありません(有効成分そのものは「化学物質審査および製造等の規制に関する法律」で規制されていますが、その製剤は規制対象ではなく、メーカー・使用者の判断に任されています)。そのため、業界団体が独自の認定を行っているという状況があります。

あくまでも独自のガイドラインであるため、協会に属しない業者などでは、認定薬剤でない安価な薬剤を使用したり、希釈率を大きくしたりして、費用を下げていることがあります。安くなるのは良いことですが、結果、効果が出なかったり、住む人に健康被害を与えては本末転倒です。

適切な薬剤が使われているかどうかは、不自然に相場よりも安い金額でないかどうかである程度判断することもできると言えます。

(2)作業内容の違い

駆除の作業手順は、基本的な部分はどの業者も共通しています。土壌処理と木部処理からなり、前者は床下の土壌に対して薬剤の散布などを行い、後者は土壌に近い部分の建材に対して処理を行います。(【参考】駆除業者は何をしてくれるのか?

手順は共通していても、細かな部分では業者の技術力や考え方の違いがあらわれます。

たとえば木部処理では、建材に穴を開け(=穿孔)て薬剤を注入する処置を行う業者と行わない業者があります。穿孔を行わない場合、表面に薬剤を塗布する形の処理が一般的です。穿孔のほうが手間がかかるためそのぶん費用は高くなってしまいますが、穿孔を行う業者はそのほうが防除効果が高くて再発が起こらないとの考えから行っています。

では穿孔を行わなかったら、防除効果がまったくないのかと言えばそうとも言えず、再発が起こるがどうかは偶然に左右される面もあります。利用者としては、業者の方針にどれだけ共感・納得できるか、という判断になるでしょう。

また、穿孔を行った後の処理(開けた穴の埋め方、その跡がキレイかどうか)や、養生の仕方(住まいを汚したり損なったりしないようにケアする処置)などにも、業者の技術力はあらわれると言われています。

費用が安いということは、業者としてもその中から利益を出すために、作業の効率や速度を上げていくことを目指します。そうすると、使用する薬剤や作業手順は同じでも、養生や後処理には時間をかけられず、直接的に防除効果に影響が出ないプロセスはカットしたりクオリティを下げたりといったことになるのは当然です。本来の駆除以外の部分(作業後のキレイさなど)に、価格差が反映されてくるのだと言えます。

見積もり額が妥当かどうか判断するには?

業者の見積もり額が妥当かどうか、何をもって判断すればよいでしょうか。

まず、相場から見て大幅に安い場合。このときは、なにか「安い理由」があるはずです。述べたように、薬剤について、業界団体に認定されていない薬を使用していたり、希釈率を上げて使用量を抑えていたりすることが考えられます。

安い業者は保証がついていないこともあります。適切に薬剤を使用するとその効果は5年程度とされているので、5年間の保証があるかどうかはひとつの目安になるでしょう。保証がなくて安いのであれば、やはり、効果にそれだけの自信を持っていないことが考えられます。必ず再発するとは言えませんが、少し慎重に考えたいところです。

相場よりも高い場合はどうでしょうか。この場合も、高い理由を考える必要があります。

大幅に高い場合は、防除の施工に加えてなんらかのオプションが追加されていることが多いでしょう。床下換気扇の設置や、合わせてリフォーム工事を行う場合などです。これらは、よく悪徳業者の手口としてよく聞く話ですので、警戒される方も多いと思います。しかし床下換気扇設置の提案がすべて根拠のないぼったくりかと言えば、やはりそうとも言えず、本当に必要になるケースもゼロではないのです

この判断を、専門知識のない一般の方が行うのは困難です。そのため、見極めるには、複数の業者に見積もりを依頼して比較するのが早道と言えます。3社に現場を見てもらって、3社が3社とも、床下換気扇を提案してきたなら、おそらく必要性が高いのだということがわかるはずです。

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