シロアリの被害

羽アリの群飛を発見した、シロアリの糞をみつけた、など、シロアリの存在が疑われるときには、実際、どんな被害が表れているのでしょうか?

被害が及んでしまっている場合、家庭内に見られる木部表面がフワフワと柔らかくなったり、ひどいものであれば、ボロボロになった表面が出ていたり、反対に表面的には細かい土のような『蟻土』が噴いているものが見られる場合があります。

こういった状態がみられた見られた時、被害が相当に進んでいる可能性が高いため、早急な対処が必要になります。床がギシギシ鳴るなども被害の兆候である可能性があります。

被害箇所別、被害の状況

基礎・外周編

柱・敷居

通常の柱であれば、叩いてみた時に鈍い音がして、柱の固さを実感できますが、シロアリの被害が出ている柱ではやたらと軽い音がしたり、空洞音がします。

最近は柱が露出していない建物が多くなっていますので、多くは床下からわずかにみえる情報が頼りになります。もしも柱にこれらの兆候が見られ、被害が及んでいれば家の強度は著しく低下していると考えられます。

シロアリは乾燥に弱い虫なので、表面に出てくることはほとんどなく、被害箇所でも木造表面の薄皮一枚を残し食害することがあり、普段は気づかなくても物が当たった拍子に木材が崩れ、被害が発見されるケースがあります。また、アメリカカンザイシロアリは、砂粒状の糞をするので、糞の発見で被害が確認されることがほとんどです。和室の柱部分は箪笥などの陰に隠れて被害にあっているケースがあります。

屋根・屋根裏

雨漏りが発生した場合、穴や隙間から屋根へ雨水が入ってくることで、屋根裏の木材がぬれたり、腐ったりする場合があることから、被害が発生しやすい場所です。また、床下や室内へと食害が進んだ場合には屋根裏まで被害が及ぶこともあります。

イエアリは水を運ぶ能力が優れているため、湿気の多いところから屋根裏まで被害が及びます。アメリカカンザイシロアリの場合は、2階から直接侵入することもあります。

アメリカカンザイシロアリの被害がある場合は、糞が屋根裏で砂山のように積もっていることがあります。瓦を支える木材が被害に遭えば、台風などが来た時には瓦が飛んでしまう可能性があります。柱の背割れから蟻道を作り屋根裏まで食害を進めています。

外壁

外壁の割れている場所から侵入してくることも、壁に穴を開けて進入することもあります。外壁から侵入したシロアリは、木材部分だけではなく断熱材なども食害していきますので、被害が深刻化するケースがあります。雨漏りは屋根からと思われていますが、壁からも発生しますので、それによってシロアリの被害が及ぶこともあります。

外周

シロアリの発生原因となる羽アリが現れる場所です。

日陰になっている外周部分は雨の後、乾きにくく、湿気が多くなるために羽アリやシロアリが寄り付きやすくなります。コンクリート基礎の外側から玄関ポーチのタイル目地に沿って蟻道を作り、侵入してくる場合もあります。外基礎断熱工法の断熱材を食害したり、基礎構造の化粧モルタルの浮いた部分から侵入することもあり、外壁に蟻土が噴いている部分をはがすと広範囲に食害が及んでいることがあります。

床下

床下も被害に遭いやすく、被害範囲の拡大しやすい箇所です。最近では、床束がなかったり、金属製やプラスチック製が増えていますが、金属製のものでも表面に蟻道を設け、材木部分までたどりついて被害を発生させる場合もあります。

床下がコンクリートのべた基礎であってもコンクリート上に蟻道を作っており、コンクリートのひび割れにも、群飛口を作ります。
被害は束柱の内部が食害され、ほぼ空洞になっており、木材はボロボロ、中はスカスカな状態です。基礎パッキン部分にも蟻道は作られます。

壁内の柱、土台などの主要構造に被害が及ぶと、耐震性が大きく低下します。雨漏りが確認された壁内では、木部に被害が及び、土台・間柱・筋交いなどが食害されています。

土台

外基礎断熱や基礎モルタルのどちらも基礎本体の外側に別の層がつくられており、その隙間にシロアリは侵入し、被害を広げます。

植木・フェンス・その他

シロアリは生木を食害することはありませんが、木製の花壇の柵や地面に直埋めされたラティスの柱などを食害し、ボロボロにすることは大いにあります。木の柵に蟻道が発見されたり、添え木に蟻土が見つかることもあります。また、裏庭に不要になった木材や木製家具、ガーデニング用で購入した木材などを放置しておくと、それ自身にシロアリが寄り付き、食害され、そこから屋内へと侵入される恐れがあいます。

屋内・各部屋編

乾燥を嫌う虫なので、自身は表面にはあまり出てきませんが、屋内の部屋や内部にはその被害が表れます。被害の状況を見ていきましょう。

玄関

土壌と木部が近い箇所のひとつで、シロアリの侵入被害を受けやすい箇所です。玄関の上がり框に蟻土が表れ、上がり框の表面をめくると内部にスカスカのかじられた食害がみられます。上がり框の木部の表面が柔らかくなって、蝕害の痕が見られることもあります。玄関の巾木にも被害が見られます。

浴室・洗面

シロアリ被害が最も多く確認される場所です。ユニットバスの普及でシロアリ被害は大きく改善された箇所ではあります。タイル貼りの浴室の場合は水漏れが発生しやすく、温度変化も激しいためリフォームすると土台や柱が腐っていたり、タイルの隙間から羽アリの侵入の形跡があったり、ドアの木枠に被害が見られることもありました。浴室土間下より侵入してきたものと思われます。

タイルの裏や壁内部などにも見られます。水を使い湿度変化の激しい場所なので、断熱と換気をしっかりすることで、結露も発生しにくくなり、シロアリ被害も抑制できまる箇所です。

トイレ

洋式便座の普及で、床の段差がなくなり、床張りのトイレが多くなりましたが、以前に多くあったタイル貼りのトイレの場合は、浴室同様土台や柱などに被害が多く見られます。

和室

畳がフワフワする、きしむなどといった症状がみられます。長期間同じ位置に置かれた家具の下などの、畳裏、床板に被害が見られます。床組と畳下の荒板に被害があります。

床下に蟻道が見つかり、構造部材が食害されていることがあります。床組の強度が低下し、床が下がるなどの症状が出る場合もあります。畳の上に長期間敷いたままの敷物をめくったところに被害が広がっていることもあります。床下から畳に群飛口が見つかる場合もあります。

洋室

フローリングの床下から床上まで被害が及ぶと木部表面が柔らかくなり、ボロボロになります。土のように見える蟻土が噴く症状が現れることもあります。ひどい時には、木部の内部が加害され、群飛口が作られ、羽アリが密集しているのが見られる場合もあります。フローリングの上に畳を引いている場合に畳の下に被害が及んでいることがあります。鉄筋コンクリート造でも床下の根太に被害が見られることもあります。フワフワした床下の木材は腐朽し、断熱材に食害が見られます。

シロアリを発見してもそのまま放置していると……?

シロアリの行動範囲が広がり、家の中をどんどん食い荒らします。木材以外にもシロアリはガラスと陶器以外は何でもが餌になり、発砲スチロールである断熱材などにも被害を及ぼすことになります。被害が拡大し、二次災害が発生する危険性もあります。

1つは漏電です。火災の原因にもなるのが漏電ですが、シロアリが配線をかじることによって漏電が発生した事例もあります。

シロアリが家中を食い荒らしてしまうと、次には家の倒壊につながります。大きな衝撃に耐えられないようになり、地震が起こったときには倒壊してしまいます。小さな虫だと侮れず、被害総額は相当大きなものになるのを覚悟する必要があります。

分巣の被害

家の中で雨漏りなどあるといきなり繁殖することがあります。コンクリートやレンガなどに穴を開けて侵入することもあります。配管の中を通って侵入してくることもあり、侵入してきたシロアリは、今度は様々なところに巣を作ります。元々の巣から離れ、餌に近いところにまた巣を作ることを分巣と言います。分巣は驚くべきところにも及びます。

  • ・天井梁・天井裏
  • ・床下
  • ・本棚
  • ・壁の中
  • ・RC構造の外周の壁
  • ・箪笥の中
  • ・モルタル
  • ・壁の中
  • ・電気ケーブル(ケーブル内の漏電防止用の和紙をかじる)

これらに巣を作り、被害を拡大していきます。

シロアリに関わる二次被害

シロアリの実質的な家屋の被害だけでなく、シロアリを見つけて駆除する、しない、した後といった事に関わる二次的な被害も考えられますので、シロアリ対策を考える場合、十分に注意が必要です。

借家にシロアリが発生した場合の駆除費用負担

シロアリの駆除は基本的に大家側が行うものです。しかし換気をしていない、庭やベランダに不要なものを放置している、など発生原因が借り主にあると判断された場合、自費で駆除を行う必要があるケースもあります。借家だからと言って、借り主に全く責任がない、とは言えないわけです。

ご近所トラブル

シロアリ駆除をしたら隣家からシロアリが移ってきたと苦情が来た、という話もよく耳にします。しかし、シロアリ駆除に驚いたシロアリが一時的に離散することはあっても、女王アリをきちんと駆除すれば、シロアリが増えることはありません。そもそもシロアリは、地中を移動しますので侵入経路の特定はとても難しいものです。いくら隣家でシロアリが繁殖していようとも、もしその後、シロアリが発生した場合、シロアリの防除対策をしていなかった責任上、シロアリ被害の費用はその土地と建物の持ち主の負担になり、それを隣家に請求することはできません。

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