勤務先の鍵を紛失したときの対処法とそれに伴う法的責任

houtekisyochi会社には機密や共有財産が詰まっているため、勤務先の鍵の紛失はかなりの大ごとです。更衣室のロッカーキーなど、2次被害が発生しにくい箇所なら口頭注意だけで済むかもしれませんが、エントランスや金庫の鍵となるとそうはいきません。就業規則に従って相応の処分がくだるでしょう。

それはそれとして、合鍵がなくて困っているという場合は、鍵の専門業者を呼ぶ必要も生じます。ドアだけでなく、金庫などの鍵も、専門業者であれば開錠できますので、実質的な解決法については、やはり業者を頼るのが確実です。近くの専門業者を探して、相談してみましょう。

鍵のトラブル業者検索

以下では、社内での対応方法などを整理してまとめました。参考にしてください。


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取るべき対処法

遺失届提出後は、あなたが「従業員」か「管理者」かで具体的な行動が異なります。

いち従業員の場合は上司に報告

基本的には一つしかありません。紛失した事実を上司に報告することです。上司はそれを受けて原状回復の措置をとることになります。始末書の提出を求められたら、紛失に至った経緯、原因、反省の弁と今後の対応策などを誠意を込めて執筆しましょう。

社内に雛形がなく、書き方がよく分からないという人は、別記事勤務先の鍵を紛失したときの始末書テンプレートで詳しく解説しているので参考にしてください。

紛失した鍵がスペアキーで、比較的容易に複製できるタイプの場合、「こっそり作ってしまえばバレない」と思うかもしれませんが、絶対にやってはいけません。 後々判明したとき、重大な過失および隠蔽行為を咎められる恐れがあります。

盗難の可能性があるときなどは、警察に相談したほうがいい場合がありますので、上司に確認のうえ、まずは「遺失届」を提出しましょう。電話でも受け付けてくれます。(※遺失届については、「財布・鞄を紛失したときに行なうべき対処チェックシート」で詳しく解説しています。)

自分が管理者の場合は相見積もりをとる

なくした本人が鍵を管理する立場にあるなら話は早いです。経営者の許諾を得て新しい鍵の作成や取替の手配をしましょう。テナントに入っていて、一連の鍵を管理会社が管理している場合、指定する鍵業社があるかもしれないので、必ず確認してください。

なお、この場合も、警察に「遺失届」を出しておかれることをおすすめします。鍵が発見されて戻ってくる可能性もゼロではないからです。

アパート・マンションの鍵をなくしたときも同じですが、借主の過失が原因での鍵トラブルにかかる費用は、借主が負担することになっています。場合によってはかなりの高額になるかもしれません。ただし、その負担を過失のある個人が負うかは別の話です(「紛失伴う処分や費用負担」で後述します)。

自社の賃貸スペースだけに影響する鍵であれば、設置に携わった鍵業社に相談しましょう。費用の関係で少しでもコストを下げたい場合は、設置業社にこだわらず複数社に連絡し、そして必ず相見積もりを取ることです。専門業者といっても、価格・技術・出張費・アフターケアなどサービスの質はバラバラだからです。また、原状回復にかかるスケジュールの比較も忘れずに。各社で大差ないはずですが、偶然部品を切らしているなど、個別の事情で遅くなるケースもなくはありません。

紛失に伴う処分と費用負担は?

会社の鍵をなくした際に不安になるのが、処分の度合いと弁償額ではないでしょうか。勤め先の就業規則によりケースバイケースではありますが、一般的な見解を法律家の方に聞いてみました。

Q.減給や謹慎処分を受けるのか?

A.就業規則により受ける可能性はあります。しかし故意や重大な過失でない限り、いきなりの減給や謹慎は考えにくく、始末書提出など訓告処分に留まるのが一般的です。

ただし、紛失に至るまでの経緯があまりにずさんだったり、他の備品も頻繁になくすような再犯者だったりと、過失の度合いが大きい場合は、処分の引き上げが行われる可能性もあります。

Q.個人の賠償責任を問われるのか?

A.問われる可能性はあります。就業規則には、「故意または重大な過失により会社に損害を与えた場合には、損害の一部または全額賠償を行わせることがある」といった文言が記載されていると思います。

しかし、従業員の過失は会社の過失でもあるため(「使用者責任」といいます)、請求されたとしても最小限の一部負担で済むケースがほとんどでしょう。そもそも、盗難や紛失によるトラブルを「故意または重大な過失」に含めるのは相当の理由が必要です。

「なくした鍵がマスターキーで、全室分の鍵交換代◯十万円を請求された」なんて話も耳にしますが、多くの場合不当請求の部類に入るため、実際にそんな請求を受けたら労働基準監督署に相談してみてください。

賠償義務の度合いは、紛失した本人の過失と会社側の管理体制で決まるのが基本です。会社側が紛失や盗難を想定してセキュリティ対策を行っていないことは少なくなく、就業規則に記載があるからといって、ミスをした者だけが背負わされるような単純な問題ではありません。

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