海外旅行に行く前に知っておきたい、スーツケースの防犯対策

海外旅行に行く時、スーツケースに鍵をかけていますか? 鍵をかけていても移送中に開錠されて盗難にあった、乱暴な扱いでターンテーブルからスーツケースの蓋がずれて中身がはみ出して出てきた、といった話はしばしば聞かれます。そうなるとできるだけ開錠されない頑丈なロックをしておきたいものです。

しかし、テロ対策で現在アメリカへの渡航にスーツケースの施錠は一切しないように求められています。もし施錠した状態で、検閲にあたってしまったら鍵を壊してもよいということになっています。そこで登場したのがTSAロックです。TSAロックであればアメリカ行きでも施錠することが許されています。

ここでは、TSAロックというのはどういったものなのかも含めて、スーツケースの鍵と防犯について、整理してまとめました。

なお、鍵をなくしたり、故障したなどのトラブルで、開かなくなった場合の対策はこちらの記事で紹介していますので、参考にしてください。

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スーツケースタイプ別ロックの種類

まず、スーツケースは、その開閉の方式で大きく「フレームタイプ」と「ジッパータイプ」に分かれます。鍵の種類は開閉の方式により異なってきます。

<フレームタイプ>
昔ながらのカチッと枠がはまるタイプのスーツケースのタイプです。このタイプの鍵は以下のようなものになります。
・シリンダーキー
・カードキー
・マグネットキー
・ダイヤルロック
このタイプのスーツケースはいずれもカチッとした枠があり、内臓されたフックがかかっています。鍵の仕組みとしては、シリンダーキーは鍵を差して回す、カードキーであれば、付属のカードを差し込んで、施錠、開錠するというものです。マグネットタイプは鍵状のマグネットを型に合わせ(鍵穴はなし)、回して施錠、開錠します。これは鍵穴がないので、ピッキングに強いと言われています。ダイヤルロックは任意の何桁かの番号を合わせ開錠する形式です。

<ジッパータイプ>
最近のスーツケースに多い、全体をジッパーで閉じ、ジッパー両方の引手にロックをかけるタイプです。このタイプの鍵は以下のようなものになります。
・シリンダーキー
・ダイヤルロック
・南京錠

ジッパータイプの場合は両側から閉じたジッパーの引き手を溝にはめ込み、シリンダーキーであれば、鍵で施錠、開錠します。ダイヤルロックであれば、任意の何桁かの数字を合わせて開錠します。いずれもダイヤルロックは自分の忘れない番号に自由に設定できるのが便利です。南京錠であれば、両側から閉じたジッパーの引き手の穴に南京錠をかけます。南京錠は付属されているものもありますが、鍵がついていない場合に市販のものを引手に通して取り付けることも可能です。

フレームタイプにしても、ジッパータイプにしてもダイヤルロックがついている両端や片方にシリンダーロックがついているものが多く、ダイヤルを使用せず、シリンダーロックのみを使用している人も多いので、徐々にシリンダーロック単体が主流となっています。

米国への渡航には必須「TSAロック」とは

TSAロックとは、米航空省運輸保安局が開発し、米国土安全保障省の運輸保安庁(TSA)の認定を受けた特殊な鍵で、アメリカ領内の空港では、9.11事件以降テロ対策でスーツケースに鍵をかけないということが求められ、TSAロックであればかけてもよいということになりました。逆に、アメリカの空港でTSAロック以外のロックをしていると、検査のためにロックを壊される可能性があります

TSAロックは、掛けられるけれど一般の人には開錠できず、合鍵を持っているTSA職員だけが検査の為に開錠できるというものです。国内の鍵業者などの専門家でもTSAの鍵は持っていません。赤いひし形(Travel Sentry社製)赤い松明(Safe Skies社製)のマークがついています。

TSAロック

Travel Sentry社製のTSAロックです

現在TSAロック製品はスーツケース(ハード・ソフトキャリー・南京錠、スーツケースベルト、ダイヤル錠・ワイヤーロックに採用されています。

TSAロックはアメリカだけのものなので、それ以外の国への渡航には関係ないですが、今後アメリカへ渡航予定もしくは、するかもしれない方も、新しくスーツケースを購入する場合はTSAロック付のスーツケースを購入するようにしましょう。現在、売っている一般的なスーツケースメーカーのもののほとんどはTSAロックが標準装備されています。

もしくは、今自分が持っているTSAロックなしのスーツケースで行かれる場合は、TSAロックつきのベルトを購入して、スーツケースのロックはしないようにしましょう。本土だけではなく、ハワイ・グァム・アラスカ・サイパンほかアメリカ領のエリアに行かれる場合も同様ですので注意してください。

TSAロックの注意点

ロックの種類はTSA001~TSA011まで存在しており、たまたま旅行者のスーツケースの番号を係官が持っていなかった場合に、TSAロックでも壊される場合があるといいます。2015年9月 ある情報誌でTSAロックのマスターキーの画像が流出し、一部のユーザーが解析、マスターキーのデータを作成して公開し、3Dプリンターで誰でもが複製可能にした、という事件がありました。現在、画像は削除されていますが、どこにマスターキーの複製が出回っているとも限りませんので、TSAロックの施錠もあまり過信しないほうがいいかもしれません。

スーツケースの防犯の注意点

フレームタイプのスーツケースであれば、フレームの弱い安いものを購入するとフレームがゆがんで噛み合わせが悪くなり、ロックができなくなります。いずれスーツケースのタイプにしても、やはり鍵自体も安価なものは壊れやすく、一流メーカーのものであればそれなりに頑丈です。

しかしながら、どこの世界にもピッキングのプロは難なくどんな鍵でも開錠してしまいます。そもそも、空港に預ける際に貴重品は絶対に入れないのが大事です。中の荷物がなくなっても、検査官は一切責任を取りません。

基本的に施錠できないアメリカ行きの場合も同じくです。貴重品でなくても、自分のものを盗まれるのはいやなものです。そのためにもスーツケースの蓋を開けるまでにいかに時間をかけさせるかが重要になってきます。頑丈な鍵をつけて一つだけで完璧な防犯を考えるのではなく、時間稼ぎ、バリアの意味でも、またそれに重ねての工夫を考えましょう。

スーツケースの鍵だけに頼らないプラスアルファの防犯の工夫

◇南京錠

スーツケースに付属の鍵がない場合、南京錠が役に立ちます。ジッパータイプの場合は、付属のものでなくても南京錠をジッパーの引手の穴にかけてつけることができます。

◇スーツケースベルト

スーツケースベルトにダイヤルロックがついているもの、TSAロックがついているものがあります。スーツケースベルトはロックの意味だけでなく、以下のような効果もあります。

  1. 開かないように固定する
  2. 巻いてあるベルトを外す、その上にロックがついていればより外すのに時間がかかる。スーツケースの蓋を開けるまでに時間をかけさせる。手間取りそう、というバリアにもなる
  3. 防犯ではないが、目印にもなる

◇ガムテープ(布テープ)

スーツケースのロック部分にガムテープを小さく覆います。これだけでもロックの開錠に時間をかけさせることができます。

◇ビニタイ

アメリカへの渡航の際には、TSAロックですら、壊される可能性があるので、ロックをしないで預けた方がいいとも言えます。そんな時にファスナーの穴にビニタイ(よくパンの袋を閉じる時などに使われる針金入りのタイ)を通して、ねじっておくと、こちらも手間取らせることになるのでバリアになります。衝撃でファスナーが開くことも防げます。荷物検査で開けられても、ちゃんとねじってもとに戻してあったとの声もあるようです。

これらの工夫で、スーツケースの開錠までに時間がかかるように、また、そのように思わせるようにして、大事な旅行の荷物を盗難から守りましょう。

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