ねずみの生態で見るその習性と行動パターン

ここでは、ねずみの習性について解説していきます。ねずみがどういった動物なのかを知ることは、その対策を立てるうえで重要な基礎知識です。習性に関する知識があれば、その行動も予測できますし、ねずみがいるかどうかわからない段階でその存在を判別するにも役立つでしょう。なお、すでに家にねずみがあらわれて被害を受けているという方は、駆除業者に相談されることをおすすめします

ねずみは生物学的には哺乳綱ネズミ目(齧歯目)に属する動物で、同じ分類にはリスやヤマアラシなどがあります。このうち一般にねずみと呼ばれるのは、諸説ありますが1000~1800種程度です。このうち、人家にあらわれ、被害をもたらすのは家ねずみと俗称されるグループで、ほぼ「クマネズミ」「ドブネズミ」「ハツカネズミ」の3種です。

3種のねずみの、種類ごとの特徴や見分け方などは、こちらのページで詳しく解説しています。ここでは、ねずみ全般に共通する習性を中心に解説していきたいと思います。

食性~雑食性で穀類を中心になんでも食べる

ねずみは雑食性で、なんでも食べます。人間の食べるものはもちろん、ペットフードや家畜飼料、水分補給のために観葉植物の葉などを食べてしまうこともあります。昆虫を捕らえて食べることもあるので、人家ではゴキブリが餌になる場合も。

なんでも食べるとはいえ、種類によって好む餌の傾向はあります。以下にまとめました。

ねずみの種類 特に好む食べ物
クマネズミ 穀物や果実、昆虫、植物の葉や茎など
ドブネズミ 魚介類や肉類など
ハツカネズミ 種子や穀物類、草や花、小型の昆虫など

身体の大きさに比べるとかなりの大食と言え、1日に体重の4分の1~3分の1の量を食べます。身体の大きいドブネズミ(体重200~500g)であれば50~80gの餌を食べてしまいます。

繁殖能力~1年を通して繁殖し、増えるスピードが速い

ねずみの繁殖能力が高いことはよく知られています。いわゆる「ねずみ算」という言葉の語源になったように、多産で成長が速く、繁殖期も1年を通じてあるため、非常なスピードで数が増えていきます。ねずみの繁殖能力と寿命については以下のとおりです。

ねずみの種類 繁殖期 妊娠期間 平均的な出産数 性成熟期※ 寿命
クマネズミ 通年
(夏にピーク)
21~24日 5~6子 3~4ヶ月 1~2年
ドブネズミ 通年
(春と秋にピーク)
21~24日 8~9子 2~3ヶ月 1~2年
ハツカネズミ 通年
(春と秋にピーク)
18~20日 6~8子 2ヶ月 1~2年

※性成熟期=繁殖行為が可能になる時期

特に増えやすいとされているのがハツカネズミです。ハツカネズミという名称自体も、「二十日ほどで生まれる」(妊娠期間が20日程度と短く繁殖サイクルが速い)ことが語源だとされています。

行動の特徴~暖かな場所を好み、夜間に部屋の隅から隅を移動する

以下に、ねずみの行動の特徴について述べます。

暖かい場所を好み、布や紙で巣作りをする

ねずみは寒さに弱い動物で、暖かい場所を好みます。人家に入り込んでくるのも、餌を探すと同時に、快適な住処を求めてのことなのです。ねずみは家の中に安全な場所を見つけ、集めてきた布や紙などを巣材として巣作りをします。巣をつくりやすい場所は、種類によって異なりますので、以下にまとめました。

ねずみの種類 巣をつくりやすい場所
クマネズミ 屋根裏や押入れの奥・天袋の中、壁の内側など。
布や布団の綿、断熱材などを巣材にする。
ドブネズミ 冷蔵庫裏・食器棚の背面など。
湿気を好むため、水回りに近い場所が多い。
ハツカネズミ 倉庫・物置など。
放置されているダンボールや新聞紙を巣材にする。

夜行性で、日没直後と夜明け直前が活動のピーク

ねずみは基本的に夜行性の動物です。昼間のうちはあまり動き回りません。もっとも活発になるのは、日没直後と明け方直前の2回です。そのため、ねずみの被害は夜間に発生することが多いでしょう。この習性を踏まえると、夜間には食べ物を放置せずにしまいこむなどの対策が適していると言えます。

クマネズミは屋根裏に入り込むことが多いので、夜間にパタパタと歩き回る音が聞こえるはずです。もし、昼間に音がするなら、ねずみではない動物(ハクビシンやアライグマなど)の可能性があります。

固い物をなんでもかじってしまう

ねずみの歯は一生伸び続ける性質をもつため、つねに固いものをかじって歯を削るという習性があります。そうしていないと歯が伸びすぎてしまうためです。かじることのできない金属類は避けますが、それ以外は手当り次第にかじってしまい、木の柱や壁、木製の家具はもちろん、石鹸なども被害にあいます。

このため、家や家財がダメージを受けるという被害が発生しますし、時には人間が噛まれることもあります。寝たきりの高齢者や無防備な赤ちゃんが被害にあうケースが多いです。

また、電線やガス管、通信ケーブルなどをかじることがあり、電気事故や漏電火災、ガス漏れといった危険な状態になることもありえます。ねずみがもたらす被害についてはこちらのページで詳しく解説しています。

かじりあと
※ねずみによってかじられた痕跡

部屋の真ん中は通らず、隅から隅を移動する

ねずみが見せる動きの特徴として、壁際・家具のすぐ傍を通り、部屋の隅から隅へと移動する、というものがあります。部屋の中央を横切っていく、というような動き方はほとんどしないということです。

ねずみの警戒心は、クマネズミが最も強く、ハツカネズミはあまり人間を恐れないという差があります。しかしこの「部屋の隅を移動する」という点についてはどのねずみにも共通しています。狭いすき間などにも、好んで入り込みます。

このため、ねずみが家にいることを示す痕跡(「ラットサイン」)は、大半が壁際や家具の側面などに集中します。これはねずみの存在を確かめたり、移動ルートを特定するのにも役立ちますし、粘着シートや捕獲トラップなどを仕掛ける際も、参考にすることができます。部屋の真ん中に置いてもねずみがそれにひっかかることは少なく、ねずみが移動する隅に置くのが効果的だということです。

移動しながらおしっこをする性質がある

ねずみは動き回りながら尿をするという性質があります。そのため、ねずみが通ったあとには尿の跡が残っていきます。人間のものに近い刺激臭がするので、その発見は容易です。さらにクマネズミの場合には、尿だけでなくフンもまき散らしながら動き回ります。

前述したとおり、ねずみは部屋の隅を移動する習性があるので、フン尿もそうした場所に残り、ラットサインとなることが多いです。フンの大きさ・形状はねずみの種類によって異なるため、そこからねずみの種類を推定することができます。フンによるねずみの種類の見分け方はこちらのページで解説しましたので、参考にしてください。

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