予防や駆除に役立つ「ゴキブリが嫌うもの」リスト

ゴキブリにも、嫌いなもの・苦手とするものがあります。要点を整理すると以下のとおりです。

嫌う環境 適温(20~32度前後)外の暑さや寒さに弱く、極端に乾燥した場所も苦手。
天敵 ネコ・ムカデ・クモなどが天敵。特にアシダカグモは積極的にゴキブリを捕食する。
嫌いな匂い 柑橘系の香りや、刺激のあるハーブの匂いが苦手。
嫌う物質 アルコールや食器用洗剤をかけられると呼吸困難になって死ぬ。

では、これらを利用することで、ゴキブリの出現を予防したり、遠ざけたりすることができるでしょうか。結論から言うと、即効性・確実性という点では、プロの業者による駆除作業には勝らないでしょう。今すでに被害に困っている場合は、業者への依頼を検討するのが現実的です。

しかし、業者に依頼する前に、手軽にできる方法から試してみたい、という人のために、以下で、それぞれについて詳しく解説していきたいと思います。

嫌う環境~適温外の猛暑や厳寒、極度の乾燥には弱い

ゴキブリには活動するうえでの適温があります。ゴキブリが最も活発に動くのは20~32度前後とされています。比較的、暖かいほうが好みだと言えるでしょう。逆に、この適温範囲外の気温は、ゴキブリにとって不都合なのだと言えます。

ゴキブリが人家に入ってくるのは、食べ物や繁殖相手を探すほかに、寒さから逃れる意味もあるのです。冬場にゴキブリを見かけることが少ないのは暖かいところで寒さをじっとしのいでいるからです。また猛暑の夏には発生数が少なく、暑さの和らいだ秋口に大量発生する傾向があります。ゴキブリは気温20度以下では徐々に活動が鈍っていき、卵も孵化できません。10度を下回ると、幼虫はそれ以上成長できなくなります。

反対に高温の場合は、32度を超えると徐々に活動が鈍り始め、35度を超える頃には動けなくなります。そして42度を超えると、体内のタンパク質が固まり、死んでしまいます。

また、乾燥も苦手です。台所など、水回りにゴキブリがあらわれるのは、餌が豊富という理由もありますが、シンクなどに残った水分を補給するためでもあります。水がない環境では生きていくことができないのです。

しかしながら、だからといって、家の中を常時、ゴキブリ適温外の暑さや寒さにしておくことはできません。これらの特性については、

  • ・季節による気温の変化で、ゴキブリが活発になることを予測する

という形で利用すべきでしょう。ゴキブリの出現を予測して、予防の対策を事前に講じる目安としてください。

ゴキブリの天敵~「アシダカグモ」などの生物に捕食される

どんな生物にも天敵はいるもので、ゴキブリも例外ではありません。小型の昆虫を捕食する動物は多いので、実のところゴキブリの天敵は自然界に数多く存在します。人家に侵入して暮しているゴキブリは野外にいるものよりはその意味で安全な環境にいると言えます。そんな人家に住むゴキブリでも、遭遇する可能性の高い天敵が、「ネコ」「ムカデ」「クモ」の3種類です。

ネコ ネコは頻繁にゴキブリを捕まえてくるペットのひとつです。家庭で飼われるネコの多くは充分なエサをもらっているため、空腹のために狩りを行うことはまれですが、動き回るゴキブリに反応し、遊ぶために捕まえます。
ムカデ ムカデは肉食で昆虫などを捕食します。ゴキブリもその対象であるため、結果として駆除に役立つこともありますが、人間がムカデに咬まれることもあるため、家で見かけたものを放置するのは難しいでしょう。屋外で見た場合は、積極的に駆除せずにいると、ゴキブリの侵入を防いでくれることがあります。
クモ 小型のハエトリグモも、生まれたばかりの小さなゴキブリの幼虫を捕食しますが、ゴキブリの天敵と言えば「アシダカグモ」と呼ばれる種類のクモが有名です。アシダカグモは巣をつくらない、成虫では全長10cmを越えることもある大型のクモです。このクモはゴキブリを主食としており、家の中のゴキブリを狩り尽くすと、その家からは出て行きます。アシダカグモを見かけたら、あえて駆除せずにおくのは有効でしょう。

嫌いな匂い~柑橘類の匂いや刺激の強いハーブの香りを避ける

ゴキブリは、柑橘類の匂いを嫌います。これは柑橘類の中に含まれている、「d-リモネン」という成分がゴキブリに有害にはたらくためです。レモンの果汁をほんの数滴、水に混ぜて吹きつけるだけでも動けなくなるほどです。

d-リモネンは、柑橘類の皮の中に最も多く含まれています。ゴキブリだけでなく蚊やハエといった他の害虫も寄せ付けない効果があるため、みかん・レモンの皮を乾燥させて、部屋の隅に置いておくだけでも防虫効果が期待できます。

同様に、匂いの強いハーブ類もゴキブリは嫌います。たとえば以下のようなものがそうです。

ハーブ 特徴など
ミント、ハッカ類 ミント、ハッカ類 清涼感のある香りがするシソ科の植物。ペーパミント、アップルミントなどさまざまな種類がある。
レモングラス レモングラス レモンに似た香りがすることからその名がついたイネ科の植物。香料として料理に使用されることも多い。
セロリ セロリ 茎部分を中心に食べる野菜として知られているが、独特の香りがあり、古くは薬や香料として用いられた。
クミン クミン セリ科の植物で、種(クミンシード)が香辛料として使われる。
キャラウェイ キャラウェイ セリ科の植物。クミンに似ているが、いくぶんまろやかな香りがする。

こうしたハーブ類から抽出した精油(アロマオイル)や、乾燥させたポプリにすることで、ゴキブリの予防に使用することができます。化学的な殺虫剤などに比べると効果はマイルドですが、殺虫剤は人体への害が心配だという人は、ハーブを活用してみるとよいでしょう。

ここに挙げた以外にも同様の効果のあるハーブを下記の記事で紹介していますので、参考にしてください。

【参考】ゴキブリが苦手とするハーブとその育てやすさ、効果、使い方の一覧表

なお、アニスやバニラビーンズなど、甘い匂いがするハーブは、反対にゴキブリを引き寄せてしまう作用がありますのでご注意ください

嫌いな物質~アルコールや洗剤をかけられると呼吸困難に

ゴキブリは高濃度のアルコールも苦手としています。度数50パーセント以上のアルコールをかけられると、ゴキブリは呼吸ができなくなって死んでしまいます。病院や理科室にあるようなアルコール液である必要もなく、100円ショップ等で売っている殺菌・消毒用のアルコールスプレーでも十分な効果を発揮します。

また、キッチンで使用する食器用洗剤でも同様の効果があります。ゴキブリを見かけたら洗剤をかけると良いと言われますが、これは正しい対処法です。

ゴキブリは、人間のように口から空気を吸って肺で呼吸をしていません。代わりに、体中にある「気門」と呼ばれる無数の穴から空気を取り込み、呼吸を行います(これはゴキブリに限らず昆虫の呼吸のしくみです)。ゴキブリは通常、全身を脂で覆うことで水分や異物を弾き、気門が塞がるのを防いでいます。アルコールや洗剤はこの脂を洗い流し、気門の中にも侵入してきてふさいでしまいます。このためゴキブリは呼吸が出来なくなるのです。

アルコールの場合、濃度の高いアルコールは揮発性も非常に高いため、窒息するだけでなく、その気化熱で体温を奪われて動けなくなるという効果もあります。

前述したようにゴキブリは柑橘系の匂いが苦手ですから、食器用洗剤は柑橘系の香りのものを選ぶと、忌避効果もあってさらに効果的でしょう。

嫌いなものを利用して、ゴキブリを駆除できるか?

実際にゴキブリの嫌いなものや環境を揃えることで、ゴキブリの出現を予防したり遠ざける事は可能です。

ですが、これらの環境を一度に揃えるのはやはり難しいです。季節による気温の変化に注意しながら、家の周りや屋内にハーブを用意し、猫を飼って、柑橘系の食器用洗剤を常備する、というような事になります。ムカデやアシダカグモを家の中に野放しにするというのも現実的ではありませんし、猫を飼えない人も多いでしょう。また、既に人家に住み着いてしまっている場合は、上記の環境を取り揃えても駆除の即効性は低いと言えます。

長期的なゴキブリ対策として、ゴキブリが嫌う環境を整えることはとても有効ですが、即効性は見込めません。また、一度住み着いてしまうと厄介なので、徹底した駆除はやはり業者に依頼するのが確実です。

参考:ゴキブリ駆除業者に依頼するメリットは?

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