シロアリ被害を予防するには

シロアリの被害にあえば、家の崩壊につながる可能性もあります。そうならないために、家を建てる時や、発生していない時点からシロアリの被害の予防策を講じておきたいものです。

シロアリ被害を予防するために理解したい5つのこと

1 まずシロアリが侵入するのを防ぐ方法は二つあることを認識しましょう

  • ・「物理的バリア」……侵入経路をふせぐこと
  • ・「忌避的バリア」……予防処理を行うこと

この二つのバリアの強度を高めることがシロアリ予防になります。

2 「忌避的バリア」の予防薬について

一つ認識しておくべきことは、予防策の一つ、薬剤散布は駆除と同じ作業である、ということです。自分で予防措置を行う方法もあります。ですが、防除処理の際に予備知識や防除計画が無い場合、予防作業が甘くなってしまい、予防の成功率が下がることがあります。駆除を行った場合でもが完全でなく被害が再発してしまいます。

予防用の薬剤を使用する前に、住居環境の診断調査をすることや床下調査をすることなどお家のチェックをすることが効果的なシロアリ対策に繋がりますし、反対に、無駄な大量の薬剤散布をすることもなくなります。

チェックすることで、住居の危険度を判断可能、シロアリの早期発見や被害拡大防止になります。こうすることで、最小限の使用法での予防処置が可能になります。これらのことは駆除のための薬剤散布する時と同じことなのです。

3 シロアリがいそうな場所のチェックをしましょう

駆除する際にチェックする項目と同じポイントと言えます。

<老化環境を検査>

  • ・住居にひび割れがないか
  • ・冬、結露する場所がないか
  • ・建材の腐敗や痛みがないか

<家周りの環境を確認>

  • ・住居の近くに樹木がないか
  • ・土と住居の間に木材が置いてないか
  • ・建材から空洞音がないか

<シロアリのいる兆候を確認>

  • ・春先に羽アリを見かけないか
  • ・室内に木くずが落ちていないか
  • ・土台などに蟻塚や蟻道がないか

4 侵入される可能性のありそうなところに具体的防除対策を行いましょう

シロアリの侵入経路と思われる場所に薬剤を散布します。散布の方法は、木材に直接吹き付ける「木部処理」と土壌部分に吹き付ける「土壌処理」という方法があり、いずれもシロアリを近づけないという目的で行われます。

薬剤散布をできるだけ最小限にするために、「住居の隙間やひび割れのメンテナンス」「トイレ掃除などをこまめに行い、湿度を一定にする」「木材を住居近くに置かない」など、これらのことに気を付けましょう。

5 プロに依頼することが結果的に防除費用を抑えることになることもあります

4までの方法で、自分で判断するのが難しい場合は、無理せず、業者に依頼しましょう。業者を利用した場合「正確な診断ができる」「シロアリ対策も同時に依頼することができる」というメリットがあります。

専門業者であれば、住居の環境に合わせた検査ができます。中には腐朽検査証を持った腐朽検査員いますので、木材の腐敗状況なども同時に調べることができます。

被害を受けやすい場所に集中的に防除を行うこともできますので、費用を抑えることができます。無料診断であれば、検査費用も掛からず、その上、結果的にもシロアリ防除費用を抑えることになるかもしれません。

また、ホームセンターなどで販売されているシロアリ駆除の薬剤の効果は約2年程度ですが、専門のシロアリ業者がシロアリ予防や駆除に使用する薬剤の効果は約5年というものがほとんどです。また、駆除がその後の予防になるとも言いますが、自分で駆除した場合のその後の補償は全くありません。業者であれば一般的に補償は1年~5年です。この期間にシロアリが発生した場合は無償で駆除をしてもらえるので、出来るだけ保証の期間が長い業者に依頼すればシロアリの予防にも効果的だと言えます。

シロアリに強い家づくり

日本は地震大国ですので、 建築基準法では十分な強度があるはずですが、強い揺れで倒壊した建物を調べてみるとシロアリの被害が見つかることがよくあります。

一般的にシロアリは木材を好むといいますが、それでは木造住宅でなければ安心なのでしょうか?そうとも言い切れません。木造住宅ではない鉄骨造やプレハブなどでもシロアリ被害が起きています。私たちの生活に合わせてシロアリは食べるものを変えていっているとも、何でもかじってしまうとも言えます。ガラスと陶器以外は堅いアゴで穴を開けてしまうため、もはや木材だけが被害の対象とは言えないのです。

シロアリに強いと言われる素材

一部では「レッドシダー」や「ウェスタンレッドシダー」という木材がシロアリに対して防虫効果が高いとい言われてきましたが、主に木組みのウッドデッキに使われる比較的柔らかい素材で、木材腐朽には強いですが、上の一覧にもあるように、シロアリそのものに対しては強いということはありません。

日本農林規格(JAS)によれば、シロアリには針葉樹では「ヒノキ」「ヒバ」、広葉樹では「ケヤキ」などの木材が強いとされています。 その理由は、シロアリが警戒ホルモンとして分泌するテルペン系の物質を含んでいるからだと言われています。 ですが、シロアリは特に腐った木を好んで生息すると言われていますので、水分を含み、腐食するような素材では意味がありません。防腐処理を施すことが強い素材にする一つの方法です。

シロアリに強い構造

シロアリのエサといえば木材です。躯体材料が非木造のコンクリート造や鉄であれば、大丈夫かと言えば、先に表にも表したように、シロアリは何でも食べたり、かじったりするので、軽量鉄骨の建物でもシロアリ被害が見られることもあり、完全に防げる構造とは言えません。しかし、極力少なくするという意味では非木造である方が若干強いと言えるでしょう。

木造の中でも最近「ツーバイフォー(2×4)」と呼ばれる建築工法が注目されていますが、 この2×4工法で使われる木材は水を含みやすいので、防腐という面にも注意が必要です。

基礎対策

基礎の面から言うと、地面をコンクリートで覆ってしまうベタ基礎の方がシロアリには強いと言えます。

しかしながら、使われるパッキンや束石、基礎コンクリートが劣化した場合は、 ベタ基礎でもシロアリの被害に遭ってしまう可能性があります。床下の断熱化のためにポリスチレンフォームもシロアリにとっては障害にはなりません。

やや費用は掛かりますが土壌処理をしてシロアリが寄り付かない地盤にしたり、 自立換気や壁体内通気ができる構造にして、床下をシロアリが嫌う風通しの良い環境にするなど、基礎の対策を施しておくことで、シロアリに強い家づくりに一定の効果はあります。他にもベタ基礎の上に乾燥剤などを敷き詰める方法もあります。

外基礎断熱工法などで家内の熱を逃がさない住宅がもてはやされていますが、熱とともに湿気も外に逃がせないことになり、防蟻対策には適していません。この工法では、建築基準法では防蟻処理をお家に行なうことが義務付けられている現在でも、 シロアリが発生するリスクは高まります。

好む環境を作らない

シロアリに強い家づくりには、シロアリが発生の防御措置としての薬剤散布前のチェックと同じく、「シロアリが発生しやすい環境」ではないかチェックし、シロアリが好む環境にならないようにしましょう。

【参考】シロアリの好む環境

床下の改善

リフォームする場合は、建物基礎外周から、しっかり固めていく必要があります。特に侵入経路となる床下や基礎をリフォームする場合は、床下にある土壌部分を特殊なシートや被膜で覆ってしまう「シート工法・土壌被膜形成工法」が効果的です。また、地面からの湿気が家の中まで上がってこなくなりますので、湿度対策としても有効です。 しかし、ただビニールを貼るだけでは効果はありません。なぜならシロアリがビニールを食い破ってしまうからです。

外壁の改善

基礎の項目でも延べたように「住宅の断熱化」を図った構造の家が増えており、家の外層部分に性能の高い断熱材を設ける場合がありますが、この断熱材をグラスウールのようなシロアリが食べにくい素材にすることも、シロアリ対策には有効です。

外壁部分には設備配線のために開口が開けられていますが、こうした隙間もモルタルや予防剤などで詰める必要があります。玄関ポーチ・庇と外壁との接合部も隙間が出来やすいので同じく注意です。またデザイン面で木目を見せたい場合には業務用木部処理剤を施しましょう。

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