シロアリ駆除費用の補助金・保険・税額控除
シロアリ駆除にはそれなりの費用が必要です。大切な住まいでこの先も安全に暮らすためとは言え、お金の問題は頭が痛いと思われる方も多いでしょう。
しかし、地域によって公的な補助金が出る場合や、条件次第で保険金が受け取れる場合、費用負担に応じて税額控除を受けられる場合などがあります。少しでも負担を軽減するために、どんなことができるのか、見ていきましょう。
公的な補助金でシロアリを駆除する
市民の安全を確保するとともに生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的として、害虫駆除費用の一部の補助金が交付される地方自治体もあります。
下記は高知県・香美市の例です。
<高知県・香美市の例>
要件
- 市内にある一般住宅、集合住宅及び集会所等の建物の所有者等。ただし、法人を除く。
- 市税を滞納していないこと。
- 駆除業者より害虫の巣を駆除すること。
補助金の内容と必要なもの
香美市入札参加者資格申請書提出要領に基づく資格審査を受けている駆除業者に、依頼して行った害虫の巣の駆除に支払った額の2分の1で10,000円が限度で、100円未満の端数が生じたときは、その端数を切り捨てた額。
補助金は申請者一人につき同一年度において1回限りで、補助金の交付申請の時期は、駆除を実施した日から起算して90日以内となります。先着順で予算枠に達した時点で終了。
申請時に提出するもの。
- 交付申請書
- 駆除に要した費用の領収書の写し
- 駆除前と駆除後の状況写真
- その他市長が必要と認めるもの
1万円程度とのことですから、少しではありますが、使える制度があるなら使わない手はありません。市役所などの環境や衛生を担当する部署が窓口になることが多いので、ホームページを確認したり、問い合わせたりしてみましょう。
シロアリ被害は保険で補償されるか?
住まいになんらかの被害があった場合、火災保険に加入していれば補償される可能性があります。シロアリも住まいに生じる被害のひとつですが、残念ながらシロアリによる損害そのものは、火災保険の補償の対象にはなりません。火災保険が指す建物の損害とは、突発的な事故や災害など言います。害虫による劣化はこれに含まれないのです。
しかし、状況次第で、火災保険が使用できるケースもあります。
まず、雨漏りが原因でシロアリが発生する場合があります。雨漏りにより、雨水を吸い込んで腐食した木材がシロアリの餌場となって、屋根裏からシロアリ被害が発生した……といったケースです。このとき、この雨漏りが、風災や雪災などの自然災害によって生じたものであれば、火災保険が適用される可能性があるのです。
例えば「風災」の場合だと、台風や突風によって瓦が飛ばされたり、飛来物で屋根が損害を受けたことが原因で雨漏りになった時や、また、「雪災」の場合も雪によって屋根や雨どいが壊れて、それが原因で雨漏りになった時です。雨漏りについても、経年劣化が原因であれば火災保険の対象外なのですが、その原因が外来の急性なものであるなら補償に含まれるわけです。
火災保険の契約内容にもよるのですが、まずは専門業者にシロアリ発生の原因特定を依頼したうえで、可能性がありそうなら、保険会社に確認してみましょう。
「雑損控除」で駆除費用に応じた税額控除が受けられる
確定申告で、シロアリ駆除にかかった費用を申告しておけば、駆除費用の一部が手元に戻ってくることがあります。確定申告は、所得税を確定させて税金の不足、過払いを調整するもので、「控除額」が多ければ納めていた税金の一部が戻ってくる仕組みです。シロアリ駆除の費用は、「雑損控除」として申告します。
シロアリの駆除にかかった費用は所得税法施行令第9条に規定する「害虫その他の生物による異常な災害」に該当します。一定の額を超えた損失がある場合、シロアリ被害も害虫による資産損失の「災害」と認められるわけです。具体的には、シロアリ駆除に掛かった費用の一部が控除されます。
「雑損控除」については注意点が2つあります。
- 申告には領収書が必要ですので、必ず駆除の際の領収書は申告の時期までなくさず保管しておきましょう。
- シロアリの「予防」に関しては雑損控除にはあたらないので、あくまでも駆除作業をした場合に、申告するようにしましょう。
シロアリの被害がないけれど隣でシロアリが出たから予防してもらったというケースは残念ながら対象になりません。また、現在主流となっている駆除と予防の区別がない(駆除と予防を一緒に行う)対策でもこの雑損控除の対象にはなりません。この場合は駆除で要した費用と予防で要した費用を分ける必要があります(業者に相談してください)。それから別荘など日常生活に必要のない財産の被害は控除の対象になりません。