気をつけたい「合鍵」を使った犯罪と、鍵を正しく管理するポイント

アルバイトの若い女性が勤務先の同僚の男に自分のマンションの部屋に侵入され、絞殺される事件が起こりました。犯人となった男は職場の更衣室から女性の鍵を持ち出して合鍵を作り、平然と玄関から侵入し、犯行に及んだというものでした。このように合鍵を知らない間に作られたり、盗まれて犯罪に巻き込まれる事件が思いの外起こっています。

上記事件のように、こっそり鍵が盗まれ、合鍵を作られるという以外にも合鍵を使った犯罪のケースがいくつかあります。どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

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合鍵による犯罪ケース

前入居者による犯行

前入居者が退出時に自分が作った合鍵を返却せず、錠前の交換を行っていない場合にあり得る事件です。賃貸、中古物件に関しては必ず入居前に錠前の変更をするのが常識です。

常識的な大家さん、管理業者であれば、錠前を交換しているはずですが、そうでない場合もありえます。そうなると、以前の入居者が持っていた合鍵が使えてしまうことになります。錠前を同じ建物内で部屋を変えて使う場合もありますが、この場合も、住んでいた部屋以外の部屋に差し込んでみると合致する部屋を探し当てることができてしまいます。そうなると、簡単に他人の部屋の鍵が開いてしまうことから犯罪に及ばないとも限りません。

賃貸の部屋を契約して、鍵を受け取った時、「新しい錠前・鍵かどうか」「ほかの合鍵はどこに何本あるか」ということを必ず大家、管理業者に確認しましょう。また、防犯上退出時に錠前を交換する、といった規約が賃貸契約書にある場合もありますので、この機会に賃貸契約書を確認しておきましょう。

過去の同居人、交際相手、友人などによる犯行

以前の同居人が合鍵を持ったままだったり、交際中、合鍵を渡していたりする場合は、その後別居または、別れることになったとした時、返却してもらうのが常識です。しかし、そこに怨恨が絡んでいる場合もなきにしもあらずなので、合鍵を渡している時点で別の合鍵を作られている可能性もあります。このような場合も錠前を交換しておく方が安全です。

また、同居や鍵を渡していた相手でなくとも、室内に無造作に放置していた鍵を、部屋に訪れた友人が勝手に複製し、居住者が不在持に侵入されたというケースもあります。

不動産屋による犯罪

女子学生の賃貸マンションで合鍵を持った不動産業者の男が侵入し、強姦・殺害される、という被害もありました。不動産会社や管理会社となると防ぐのが難しい問題ですが、敷金礼金・家賃の安さだけで選ぶのでなく、信用のおける不動産会社・管理会社を選ぶことが第一です。前述したように受け取った以外の合鍵の所在を確認し、個人が勝手に持ちだせるような管理になっていないかを確認する必要があります。その上で、補助錠やドアチェーンで補強する、監視カメラを設置するという2重3重の防犯方法を考えましょう。

ひったくり犯・車上荒らしによる犯罪

盗まれた鍵によって財布に中にあった免許証などから住所を調べられ、家に侵入されてしまう、といったケースがあります。ひったくり犯にあったその後、もし、カバンと財布、鍵など金目のもの以外が放置されて戻ってきたとしても、その時点で合鍵が作られている可能性もあります。警察やカード会社への連絡だけでなく、必ず錠前の交換をしておきましょう。車上荒らしで、鍵もろとも被害に遭った時も同じような被害が起こるケースがあります。車検証などから住所を特定される可能性もあります。

共用部分で複数人が合鍵を持っていために起こった事件

ある学校の研究室で教授が留守中、複数の学生に合鍵を渡しており、一人の女子学生が同じ研究室の男子学生に殺害される、という事件がありました。持っていた合鍵で侵入し、施錠して逃亡したことによって事件の発覚を遅らせたのではないいかと推察されています。共用部分に複数の人間がいつでも利用できて、施錠できるということが問題でした。

この他…驚きのケース

そのほか、レアなケースとしては

・車の試乗会の間にマイカーの車の合鍵を作られた

という事件もあります。これも不動産業者同様、防ぐのが難しい犯罪ですが、たとえば

・子どもの留守番のために、郵便受けや植木鉢の下などに合鍵を隠す

といったことは、ひと昔前であれば日常的に行われていたことかもしれませんが、現在では絶対にやめた方がいいでしょう。簡単に短時間で合鍵が作れる時代ですので、知らないうちに合鍵を作られ、元に戻されていれば、赤の他人が自宅の合鍵を持って、いつでも侵入できる状態になる、ということを認識しましょう。

鍵の知識を持ったプロであれば数秒見ただけで、合鍵を作ることができる場合もあります。喫茶店などでテーブルの上に置く、といったことでも、どこでどんな人間が見ているとも限りません。人の目につくところに無造作に鍵を置くことはしないようにしましょう。合鍵とはそのように簡単に作れるものだということを認識することが大事です。

鍵の管理のポイント

自分の鍵はオリジナルキーか確認を

賃貸物件にお住いの方は自分の鍵を確認してみましょう。錠前についているマークや、鍵の型番号(通常7桁以上のものが多い)がついていればオリジナルの鍵ということになります。もし錠前のマークや型番号がついていなければ、その鍵は合鍵だということになり、オリジナルキーはどこかにある、ということになります。

スペアキーは合鍵が精度の問題で作れないこともありますので、スペアキーを作りに行って初めて知る場合もあるかもしれません。どこかにオリジナルがあるということは、他人がもうすでに合鍵を作っている可能性もありますので、即刻確認して、錠前の交換を申し出た方がいいでしょう。

共用部分の鍵は一括管理を

複数が利用する場合、鍵は管理事務所などで一括管理して、借り出せる人を限定して、鍵の貸し出しは都度記録を残し、いつ誰が使用したかを明確に管理する必要があるでしょう。

子どもの留守番のために家の外に鍵を隠してもどこかで誰かが見ていると認識を

簡単に短時間で合鍵が作れる時代ですので、知らないうちに合鍵を作られ、元に戻されていれば、赤の他人が自宅の合鍵を持って、いつでも侵入できる状態になる、ということを認識しましょう。述べたように、鍵は見られただけで合鍵を作られる場合もありうるので、基本的に、人目につくところに置くべきではありません。

持ち歩く自宅の鍵の扱いにも注意

財布につけて人目に触れさせる、バッグに入れてあるが、バッグ自体誰でも手にするところにおいていないでしょうか。もし、オリジナルキーを携行していれば、職場のコピー機でコピーされたり、番号を控えられたりして同じ鍵を入手されないとも限りません。

携行するのは合鍵にした方が安全でしょう。鍵につけるキーホルダーを手で隠せないほどの大きさのものにしたり、鈴などをつけて持ち出した時に目立つようする、鍵を入れたバッグは人の手の届かない場所に保管するなど、持ち歩く鍵の管理にも注意しましょう。

車の中に家の鍵を入れっぱなしには絶対しない

車の中に、家の合鍵などを入れっぱなしにしている人は、自分がそのことを忘れてしまっていることもありますので、現金だけでなく、鍵を入れたままにすることも絶対にやめましょう。車上荒らしにあい、鍵を盗まれた意識がないままに自宅の合鍵を持たれている場合があります。

安易に他人に貸さない

引っ越しの時に手伝ってくれる友人や、住宅の修繕業者などの出入りにオートロックの出入りが面倒だからと言って、簡単に渡さないようにしましょう。出入り業者や部下に安易に合鍵の作成を頼んだりしないことも重要です。

合鍵を作る時もその場から離れない

常識的なキーショップではお客の目の前で合鍵を作成するのが普通です。そうでないキーショップで安易に「できるまでよそを回ってきます」などと言おうものなら、店員が余分に合鍵を作ってしまうようなことがあっても、防ぐことができません。もちろん、そのようなケースはほとんどありませんが、キーショップの店員が不正に合鍵を作ってしまった事例があることも事実なのです。

ランドセルや学生カバンの目につくところに鍵をつけっぱなしにしない

学校で友達がいつの間にかカバンから取り外し、合鍵を作って、持ち主の家族の留守中に侵入し、ゲームソフトを盗んだ、といった事件もあります。昼間は家に誰もいない、ということも知られ、簡単に合鍵も作られてしまうということを子どもにも認識させましょう。

合鍵による犯罪・注意まとめ

まずは自らの住居の確認として、売買物件でも賃貸物件でも必ず入居前に、錠前を交換したかどうかの確認をしましょう。セキュリティ効果の高さによって交換の費用は異なりますが、仮に2万円としても2年契約で日割り計算しても1日27円程度の費用です。もし、入居前に錠前を交換していないとしたら、即刻交換を考えてください。交換費用以上の金額の窃盗や強姦・殺害といった恐ろしい被害に遭うことを思えば、安全経費だと考えましょう。

また、錠前が一つだけの状態であれば、もう一つ錠前をプラスするか、補助錠をつけて、ワンドアツーロックの安全対策を考えるのもいい機会です。

他人の目に触れれば、鍵の番号だけで合鍵が作れてしまうということも認識しておきましょう。ギザギザの鍵(シンプルなタイプや古い型のキー)であれば、10分ほどで合鍵が作れてしまう恐れがあります。鍵の番号は自分の家のパスワードだと認識し、人にむやみやたらに見せたり、目につくところに鍵を置かないようにしましょう。鍵番号を簡単に見られないようにキーキャップで隠す、という方法もあります。

以上の対策のほかに、新しく錠前を交換する予定があるのであれば、鍵に鍵番号が刻印されず、番号は付属のカードに記載され、そのカードと身分証明書がないと合鍵が作成できないタイプの錠前もありますので、安全対策、防犯対策の一つとして検討してみましょう。付属カードの保管や取扱いの問題がありますので、ご家族や同居者と十分話合う必要があります。

合鍵はあくまでも複製なので、元のキーと全く同じではありません。その合鍵から複製するとずれが許容範囲を越えて、ついには合わなくなってくることがあります。そのために合鍵からの複製は補償の対象外であったり、合鍵からの複製は扱っていないところもあります。また、使用するにしたがって鍵は摩耗するので、オリジナルであっても摩耗した鍵からの複製は合わない可能性もでてきます。合鍵の作成は必ず摩耗していないオリジナルキーから作成する必要がありますので、元々ついていた鍵のうち、最低1本は大事に保管しておくようにしましょう。

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