防犯ガラスと防犯フィルム、その効果と有効性

泥棒の侵入方法と言えば、玄関錠のピッキングをイメージしがちですが、実はピッキングは全体のわずか0.6%程度にすぎません。それに対して、無施錠(鍵の閉め忘れなど)に続いて多いのが、窓ガラスを破りクレセント錠を開けての侵入です。一戸建ての場合は全体の60%におよび、玄関や勝手口からの侵入よりも圧倒的に多くなります。

では、窓ガラスをどのように割って侵入してくるのでしょうか。その方法は3つ。「こじ破り」「打ち破り」「焼き破り」です。

「こじ破り」・・・ドライバーなどの鋭利なものを使って静かに割る手口
「打ち破り」・・・バールなど固いもので窓ガラスを打って割る手口
「焼き破り」・・・ガスバーナーで加熱して、その熱でガラスを割る手口

上記がそれぞれの方法です。大きな音をたてずに、5分以内に解錠して侵入したい泥棒のほとんどはドライバーを使った「こじ破り」を選びます。侵入するのに5分以上かかった場合、大半の泥棒は諦めると言われています。その意味でもガラスを破るのに5分以上の時間を要する防犯ガラス、または、防犯フィルムを貼った窓ガラスは侵入を防ぐのに有効だと考えられます。

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防犯ガラスとは

「防犯ガラス
はISO16963-1及び(財)都市防犯研究センターによる実験結果などを基に、板ガラス協会によって定義されているものを言います。通常のガラス 防犯効果がありそうなガラス、防犯ガラスの違いを見てみましょう。

名称 特徴 防犯上の効果
普通のフロート板ガラス 一般の住宅でもっとも多く使用されているガラス ×短時間で破られ、防犯性能は期待できない
表面が凹凸している板ガラス 型模様のガラスが使用され、視線を遮る機能をもったものガラスの厚さは4~6.8mm程度 ×防犯性能は板ガラス同様、期待できない
網入りガラス(防火ガラス) 一般的なガラスに比べ、約6倍の面強度がある割れにくく、万一割れた場合、ガラス全面が粒状になるので、安全目では有効 ×割れた時に粒状になり、針金に溜まることから、音が立たず、防御性を失い防犯性能は期待できない先の尖ったものだと割れやすい
ペアガラス 2枚の板ガラスの間に中空層を設け、板ガラスの約2倍の断熱性能をもったもの ×2枚のガラスを破るのに手間取り、ガラス周辺がシールドされているためガラスの破片を取り除きにくく、板ガラスに比べると破りにくいものの、防犯性能は期待できる程ではない
防犯ガラス 特殊な中間膜(特殊フィルム)を2枚のガラスで挟んだもの ○特殊フィルムをガラスとガラスの間に挟んでいることから、こじ破り、打ち破りはじめてから解錠まで時間がかかる。防犯ガラスラベルを貼るので、2重に防犯効果が高い

防犯ガラスは、中間膜の厚さなどによって、分類されます。この構造上、一般の人が個人でカット、取り付けすることはできません。以下に、防犯ガラスの種類を、取り付けを業者に依頼した場合の相場と合わせて紹介します。

防犯ガラスの種類と価格

防犯ガラスは、防犯上の効果以外に大きな地震などでガラスが割れた場合にも、フィルムを挟んでいることから一般的なガラスより飛散が少なく、ガラスでの裂傷は軽減されます。
紫外線カット効果のあるものも多く、カーテン・畳などの色落ちを軽減する効果もあります。

防犯ガラスには一定の防犯効果は証明されていますが、すべての部屋に防犯ガラスを設置する場合、約40,000円~60,000円×窓の大きさ×窓ガラスの枚数とすると、家全体を防犯ガラスに変更するには、かなりの費用がかかると推測されます。新築の家を建てる場合に、施工当初から設置を考慮されるのがいいでしょう。

特殊フィルムの厚さ 予想される破り方・防犯ランク 価格(一般的な施工料金)
約0.8mm 不慣れな侵入者が直接体で破るドライバー等によるこじ破りに対応(一般住宅低レベル) 3万9,000 円/1m²程度
(お見舞い保険あり)
約1.6mm(または、0.8mm×2) スクリュードライバー等によるこ
じ破りに対応
小型バールによる打ち破り
(住宅中レベル・店舗低レベル)
4万6,000円/1m²程度
(お見舞い保険あり)
約2.4mm(一般住宅のサッシに入らない場合が多い) 中型バールによる打ち破りに対応
(住宅高レベル・店舗低レベル)
5万6,000円/1m²程度
(お見舞い保険あり)
防犯効果の高いポリカーボネート板1.2mmを挟んだもの 中型バールによる打ち破りに対応
(住宅高レベル・店舗低レベル)
5万9,000円/1m²程度
(お見舞い保険あり)

防犯ガラスは、防犯上の効果以外に大きな地震などでガラスが割れた場合にも、フィルムを挟んでいることから一般的なガラスより飛散が少なく、ガラスでの裂傷は軽減されます。
紫外線カット効果のあるものも多く、カーテン・畳などの色落ちを軽減する効果もあります。

防犯ガラスには一定の防犯効果は証明されていますが、すべての部屋に防犯ガラスを設置する場合、約40,000円~60,000円×窓の大きさ×窓ガラスの枚数とすると、家全体を防犯ガラスに変更するには、かなりの費用がかかると推測されます。新築の家を建てる場合に、施工当初から設置を考慮されるのがいいでしょう。

防犯フィルムとは

あらかじめ、内部にフィルムが入っている防犯ガラスに対して、通常の板ガラスに後付けで特殊フィルムを貼り、防犯対策をできるのが、防犯フィルムです。

防犯が期待されるフィルムと防犯フィルムの種類

名称 内容説明 防犯上の効果
ホワイトマット すりガラス調の白いフィルム
明かりをある程度入れながら室内を見えにくくする
×室外からの見た目上の効果のみ
こじ破り防止のフィルムと重ね貼りで使用することもある
ブラックアウト 完全に真っ黒にしてしまうフィルム ×室外からの覗き防止
200μ透明フィルム コストパフォーマンス的には優れているが、CPマーク基準に合致するのは難しい
保険を付加することができる
○こじ破りにある程度の効果はあるが、サブロック他二重三重の防犯対策が必要
フィルムが貼られている、ということで侵入者の心理的効果あり
350μ透明フィルム 官民合同会議で防犯性能があると認められるフィルム
保険を付加することができる
◎こじ破り、打ち破りに効果あり
CPマーク基準に合致
凸凹ガラス用660μフィルム 凹凸ガラスに貼るフィルム
保険を付加することができる
350μ以上のフィルムには一定の防犯効果あり

CPマーク 不動産用語で防犯基準に則した製品につけられるが、防犯フィルム単体ではなく、窓ガラス全体で判断され、ガラスの厚さ5mm以上、サブロック付クレセントおよび補助錠の設置等の条件がある。

防犯フィルムの性能と価格(インターネット購入できる商品の一例)

名称 サイズ・保険の有無 価格帯
188200μ透明フィルム 400×900mm×2 3,600
350μ透明フィルム 420×297mm×2
お見舞い保険付(一回2万円)
4,000
凸凹ガラス用660μフィルム 600×420mm×1枚保険付(一回2万円) 4,600

 

<業者で施工した場合とフィルム単体での比較>

業者(A社) 市販のフィルム
(m²換算)
200μ透明フィルム 約1万7,000円/m² 約1万円
凸凹ガラス用 660μフィルム 約2万3,000円/m² 3万2,000

防犯フィルムは、後付で施工できることから自分で装着することも考えられ、ホームセンターなどにも「防犯フィルム」と称した商品は販売されていますが、上の表の基準に満たしたものは、ほとんど販売されていません。

インターネットなどで購入することは可能ですが、個人で施工するには持っている防犯性能や機能を十分に生かすように隙間なく、シワ、ゴミの付着なく装着するには、高度な技術が必要で、かなりハードルは高くなります。

業者で施工した場合と単価計算で比較すると、あまり相違なく、むしろ割高になる場合もあることがわかります。ですが、個人購入できる商品は貼りやすいようにガラスのサイズに合わせて、小さなサイズを無駄のない分だけ購入することができるので、低コストで防犯対策することができます。個人購入して、装着する場合の注意点をみてみましょう。

防犯フィルム購入時、装着時の注意点

「防犯フィルム」と称して、「飛散防止フィルム」の場合があるので注意しましょう。「飛散防止フィルム」は値段帯がリーズナブルで、400×1,000mmで1,000円程度です。見た目にはさほど変わりないですが、実際のフィルムの厚さでいうと5~10倍もの違いがあり、ドライバーで簡単に貫通してしまいます。

こじ開けたガラスからクレセント錠を解錠するという侵入方法が多いですが、だからといってクレセント錠周りにだけ防犯フィルムを貼る方のは意味がありません。別の場所に「うち破り」「こじ破り」されれば効果がないので、ガラス一面貼る必要があります。

すりガラスに貼る場合、透明ガラスにブラスト処理または、薬品処理して不透明にしたものなので、ザラザラ面にシートをはると透けてしまいます。一方の面はツルツルになるので、そちらに貼るようにしましょう。

防犯フィルムは数十年の耐久年数があると言われていますが、粘着層の劣化に問題があります。約10年程度が耐用年数と考えましょう。設置場所の環境によって、その年数は前後することもあります。

防犯ガラスと防犯フィルム どちらが有効?

透明度

「防犯フィルム」は、業者が装着した場合、ほとんど施工したのかわからないほどの透明感がありますが、素人が装着した場合はその限りではありません。その意味では「防犯ガラス」は内部にゴミが入ることはないので、こちらに軍配があがります。

強度

「防犯フィルム」は商品ごとに強度は異なります。「防犯ガラス」は、総じて強度は強いと言えますが、厚みがほぼ同じであれば、強度の差は見られません。

価格

「防犯ガラス」は、約20年以上の耐久性があるのに対して、「防犯フィルム」は約10年で張替が必要になるが、「防犯ガラス」は倍以上の高額商品になります。(上記「防犯ガラス」価格表は施工費含んでいますが、施工費別の業者もあります)

防災面

「防犯ガラス」は、地震等で割れた場合に室内にガラス片が飛び散ります。「防犯フィルム」は、飛散防止効果があるので室内にガラス片が飛散することはありません。阪神大震災の時、扉や窓を開けられず、ガラスを破って屋外に出た、という例を考えれば、「防犯ガラス」の場合強度があればあるほど、脱出は困難になります。「防犯フィルム」の場合は中に貼るので中から最小限にこじあけることができ、ガラスの飛散も少なくてすみます。災害時ケガなく避難しやすいのは、「防犯フィルム」だと言えます。

防犯ガラス 防犯フィルム その効果と有効性 まとめ

「防犯ガラス」はその強度については、一定の防犯効果が認められます。「防犯フィルム」はCPマーク基準を鑑みても、本当に泥棒に侵入させないためには、327~567μを目安に厚さを選びましょう。飛散防止フィルムは77μ程度になりますので、選ぶ際に注意してください。

その防犯性能を十分に活かすことと、見た目上の装着状態を考慮すると業者に依頼することを選択肢にいれた方がいいでしょう。

「防犯ガラス」「防犯フィルム」のほとんどの商品には、もしもの場合の「お見舞い保険」がセットされています(付帯していない商品もありますので、購入時依頼時にご確認ください)。その意味でも安心感を得られます。どちらにしても一定の効果は認められます。これまでに上げた条件と予算に合わせて選びましょう。

どちらの商品にも「防犯ガラス、防犯フィルム」の表示を装着しますので、常に「防犯意識」のある家なのだという意志表示にもなります。築完成後数年以内の住宅であれば、窓サッシ、ガラスや玄関ドアの端にCPマークが貼られていることもありますので、自宅の窓等を今一度確認してみて、今後の「防犯対策」について検討されることをオススメします。

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