蜂の出やすい季節に注意!
蜂の活動時期は、春~秋です。
集団で巣をつくる蜂も、他の多くの虫と同じように、春から秋がその活動期間です。冬のあいだは巣、そのものの活動が止まり、女王蜂以外、多くの蜂は冬を越えることすらできずに死んでいきます。
更に、活動期間内であっても攻撃性の高まる時期と、そうでない時期が分かれている蜂もいます。
この項目では、蜂の1年と、活発で危険な時期について解説していきます。
スズメバチの活動時期/女王以外冬は越せない、種によって最危険期に差がある
スズメバチは、巣を作り始めてから活動を終えるまでを春から秋にかけての間に完了します。ひとつの巣が1年を超えて活動することはありません。
また、越冬することが出来るのは基本的にその年、巣で生まれた新女王蜂のみです。もとの女王蜂・働き蜂・雄蜂は冬を越えることが出来ず、その前に寒さや寿命で死んでいきます。
しかし、1年のうちでスズメバチが活動する期間は、種類によってその長さが大きく異なります。(参照:蜂の種類と見分け方)1年間のスズメバチの活動期間は、それぞれ以下の図のとおりです。
<スズメバチの1年>
黒:活動期間 赤:攻撃性の高まる期間
活動開始直後は、基本的に最も危険の少ない時期です。ほぼ女王蜂のみしかいないため、刺してくることはまずありません。
女王蜂は冬眠から目覚めた直後で大変弱っていて、エサである樹液や蜜をなめるだけで、大変おとなしい性質をしています。
十分なエサを食べ、体力を回復したのち、女王蜂は巣をつくり始めます。はじめは女王蜂のみですが、働き蜂が誕生しはじめると、徐々に巣の活動は活発化していきます。コガタスズメバチのようにはじめは小さなトックリ型をしていた蜂の巣も、働き蜂が増えるにつれ、大きなボール型をした巣に改築されていきます。
そして最も巣の活動が活発となり、攻撃性の増す1番危険な時期は以下のとおりです。
オオスズメバチ | 8~10月 |
キイロスズメバチ | 7~10月 |
ヒメスズメバチ | 8~9月 |
コガタスズメバチ | 7~10月 |
モンスズメバチ | 7~8月 |
これらの時期にスズメバチの巣へと近づくのは大変危険です。
元来攻撃性の強いオオスズメバチ・キイロスズメバチといった種類はもちろん、おとなしい性質をしたヒメスズメバチ・コガタスズメバチについても、近づくだけで威嚇・攻撃へと移る場合があります。
また、キイロスズメバチやモンスズメバチはこの時期、巣の規模が大きくなりすぎた場合、より広い場所を求めて巣を引っ越しすることがあります。このため、巣が発見される事例も増加します。
ヒメスズメバチは、主食のアシナガバチが9月には活動を終えるため、巣の最盛期もそれにあわせて最も短くなっています。そして遅くとも10月には活動を停止します。
逆に、キイロスズメバチは長いものでは12月に入ってなお、活動するものもいます。
姿かたちが非常によく似ているオオスズメバチ・コガタスズメバチは、その営巣期間も5~11月程度と似通ったものとなっています。ただしコガタスズメバチのほうが分布が広く、都市部にも巣をつくることが多いぶん、この期間からずれた活動期間の例もよくみられます。
ミツバチの活動時期/巣への危機には常に敏感。寒い時期により攻撃性が高まる
ミツバチは、集団で巣をつくる蜂の中では数少ない、女王以外も冬を越すことのできる蜂です。といっても冬眠するのではなく、冬、巣に残った女王蜂・働き蜂が身を寄せ合いじっとして、体温を高めることで、冬の寒さをしのぎ続けます。
この集団で寄り集まって体温を上げるという習性は、日本古来の種であるニホンミツバチの場合、巣を襲撃してきたスズメバチに対し多数の蜂で包み込むことによって撃退する(蒸し殺す)、『蜂球』という戦法にも生かされています。
<ミツバチの1年>
黒:活動期間 赤:攻撃性の高まる期間 青:採蜜期間
巣の群れ自体が冬を越すため、一時的に女王蜂のみが生き残る他の蜂に比べ、活動や産卵の再開時期が非常に早いのが特徴です。
1年を通し、積極的に攻撃してくることのないおとなしい性質をしていますが、
- 冬を越す準備をしている時期(10~11月頃)
- 越冬から活動を再開した直後(2~3月頃)
と、寒い時期には敵への攻撃性が増すことがわかっています。
冬だからといって、ミツバチの巣や巣箱に近づくのはやめておきましょう。また、巣に近づくもの・敵とみなしたものに対する攻撃性は、スズメバチ・アシナガバチと比べても年間通じて、非常に強い傾向にあります。
またミツバチは新女王蜂が生まれたあと、大量の働き蜂を連れて別の巣を探しに旅立つ「分蜂」と呼ばれる習性を持っており、この「分蜂」の最中の集団は木の枝・幹などに塊となって留まることがあります(分封蜂球)。
しかし大量の蜂が密集したその外見に反して、手を出さない限り襲ってくることはなく、その攻撃性はあまり高くありません。
アシナガバチの活動時期/活動期間は比較的短い。刺される危険は時期よりも場所に原因
アシナガバチは、細身で濃い色をした強烈な外見に反し、気性のおとなしい蜂です。
スズメバチ・ミツバチに比べて巣の規模も多くて100匹程度と非常に小さく、1年のうちでの活動期間が短いのが特徴です。女王蜂のみが越冬し、3~4月頃から巣をつくりはじめて、9月頃には営巣期間を終了してしまいます。
このため、攻撃性が高まる期間もわずかです。7~8月の、巣の最盛期には高い攻撃性を示しますが、あとは基本的にこちらから巣に近づかず、手を出さなければ危険性の低い性質をしています。
営巣期間終了後も働き蜂が巣に残っている場合がありますが、この蜂もまもなく寿命を迎えるためおとなしく、攻撃性はほとんどありません。
<アシナガバチの1年>
黒:活動期間 赤:攻撃性の高まる期間
アシナガバチの場合、刺される危険性が高まる理由となるのは時期によるものよりも、その営巣場所によるものが大きな要因です。
またアシナガバチはミツバチ・スズメバチに比べ頻繁に、都会や民家へと巣をつくります。また気付かれにくい場所に、一見しただけでは気付きにくい小さな巣をつくる例が多く見られます。
このため夏、庭掃除や植木の手入れの最中にうっかり巣に近づいてしまい、その攻撃を受けるというケースが少なくありません。