防犯を意識したエクステリア&ガーデニングとは

最近の犯罪の増加と多様化にしたがって、住人の防犯意識も高まってきています。以前は高い塀の家が多くありましたが、今は見通しのよい低いデザインの外構の家が増えてきました。しかし、ただオープンで、背の低い外構が防犯には最適なのでしょうか。

住まいの外構の新設やリフォームをする際には、見た目の良しあしだけでなく、空き巣に狙われない侵入されにくい、防犯を意識した外回りにしたいものです。

エクステリアとガーデニング併せてどのような工夫が防犯に適しているのでしょうか?

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塀・フェンスの役割

塀やフェンスは外敵や外の視線から暮らしを護るものです。コンクリートのブロック塀は道路や隣家からのプライバシーを隠すことはできますが、高さのある塀は外部からの死角になり、侵入者の入り口になります。

では、塀やフェンスをなくして、低くすればいいかというと侵入者から見通しやすく、すぐに住まいに入りやすいというのも考えものです。

空き巣は犯行前に必ず下見をする、と言われています。侵入経路や逃げ道の計画を立てておくためです。その時にまず「侵入しにくい家」「防犯意識の高い家」だと感じられれば、あえて狙われることはないでしょう。狙われにくい塀やフェンス、その他どんなエクステリアがあるのでしょうか。

フェンスの種類

名称 特徴
目隠しフェンス 木製や樹脂製、アルミなどの金属を使用したフェンス。通風や採光のためにメッシュ状や格子状になっているものが多い
生け垣 植栽によって作られた垣根。1~2mの垣根が多い
ハードウォール  抜けのないコンクリートの壁。風も光も通さない
フェンス付きブロック塀 上部がフェンス、下部がブロック塀になっている一体型フェンス。腰の高さ程度までブロック塀というものが多い
ウォールとフェンスの組み合わせ ハードウォールの一部がフェンスになっていて、風や光がとおるようになっている

フェンス・塀の選び方

隣地や道路との境目から、建物までの距離によって、塀の仕様は限られてきます。スペースに合わせて、なおかつプライバシーの確保・防犯の観点から選ぶことになります。

スペースが取れない場合

通行スペースを最優先で確保し、ブロック塀とフェンス組み合わせで防犯の工夫をしましょう。

多少スペースが取れる場合

塀・フェンスの外側に背の低い植栽を植えることで、プライバシー保護や防犯に対応し、植栽で街並みに彩りを与えることができます。

スペースの余裕があるなら

塀・フェンスの内側に背と厚みのある生け垣を設けることができます。防犯とプライバシー保護の効果を高め、街並みに緑の彩りを与えることができます

防犯効果のあるフェンス・塀の工夫

フェンス・塀は、外からの目隠しとしての性能を求めすぎると、内からの死角をつくってしまいます。そこで、隠れ場所となる塀を低めにして、見通しの良い格子状のフェンスとの組み合わせにすることで、両方の機能を果たすことができます。

門扉も外から開けづらい、逃げづらいものを選ぶのが良いでしょう。門扉を閉じる時に電気で自動施錠するタイプのものなどがあります。門扉の鍵がかかっていれば侵入者は、門扉から侵入できないので、簡単に飛び越えることのできない高さや工夫をしたフェンスを選びましょう。

また、塀やフェンス上部に忍び返しを設置するのも効果的です。

忍び返しとは、塀やフェンスの上部に尖った形状のものを設置することで、塀・フェンスを乗り越えにくくするものです。さまざな種類の忍び返しが販売されていて、塀・フェンスだけでなく、壁面の排水パイプや樋に取り付けるものもあります。

金属の棘のような形状が一般的ですが、錆びにくいポリエチレンコーティングやステンレス製もあります。いかにも棘のような形だとものものしいため、美観をそこなわないスタイリッシュなデザインのものや、純日本家屋にも合うよう、竹に似せたものなどもあります。

防犯効果のある生け垣

生け垣に棘のある樹木を選ぶことで、侵入を困難にするという方法もあります。忍び返しをつけた塀ほどの確実性はありませんが、棘のあるものには近づきにくいという心理的な効果を狙ったものです。

生け垣として利用できる棘のある植物はカラタチやヒイラギなどが代表的です。植付け間隔は、1mに2.5本から3本、高さは1m以上あれば効果的でしょう。ただし、育ちすぎたり、茂りすぎると「隠れ場所」になってしまうので、手入れをすることが大事です。

生け垣だけでは不安な場合は、生け垣と共にメッシュフェンスを設置するとより防犯効果は高まります。侵入者を防ぐ効果あり、日当たり・風通しがよいので、生け垣の生育を妨げることなく、防犯とプライバシーの保護効果が薄れることはありません。

樹木での生け垣を植えるスペースがない場合、フェンスに棘のある植栽を植えるのも防犯の工夫になります。棘がきついバラなどを選んでフェンスに這わせるのも効果的です。

棘がきついバラ科の植物

名称 写真 特徴
レッド レオナルド ダ ビンチ  レッド レオナルド ダ ビンチ

棘がきつく、枝がシュラフ状によく伸びるため低いフェンスなどに仕立てることが可能。耐寒・耐病性がある

コスモス  コスモス  棘がきつく、枝はやや弓なりでしなやかさがある。黒点病に強い強建品種
ハニーキャラメル  ハニーキャラメル  棘が鋭く枝が長めに伸びるため、垣根に向いている
ピンク スワニー  ピンク スワニー  棘がきつく、樹形はシュラフ状。グラウンドカバーにも、低い垣根にも使える
 羽衣  羽衣  棘がきつく、フェンスなどに絡ませて効果を発揮させられる。丈夫で育てやすい
ジャスミーナ  ジャスミーナ  棘がしっかりあり、つるバラのためのフェンスなどに絡ませると効果がある
ハマナス  ハマナス  強健で耐病性、耐寒性、耐暑性にすぐれて、手がかからない。棘も多く防犯に向いてい木立樹形で、花は香りも強くよく返り咲

その他のエクステリアの工夫

家の側面や裏側など死角はセンサーライトやタイマーで点灯を制御できる庭園灯、「防犯砂利」を取り入れるのも有効です。

その他には「侵入させない」ためにはしごや踏み台など、足場になるようなものを外回りに出したままにしない、またはバンドなどで固定させて簡単には使えないようにしておくことも大事です。エアコンの室外機などは市販の鉢置き台などを利用して花鉢をおくなど、足場にされにくい工夫をしましょう。

ガーデニングと防犯

ガーデニングしている家はお金に余裕のある家だから、家にもお金があるに違いない、という見方から狙われやすいのではないか、という声もあります。また、ガーデニングしている家は手入れのために庭に出ることが多く、外回りに気を使っているから狙われにくい、という声もあります。

しかし専門家によれば、一概にガーデニングをしているから狙われやすい狙われにくいということはないということです。

どちらにしても空き巣は下見に来ると言われているので、ガーデニングをしていようとしていまいと、防犯意識が感じられればおのずと敬遠するものです。

それよりも防犯効果が高いのはご近所の目です。ガーデニングをしていれば、手入れのために外に出ることが多く、その際、積極的に道行く人に「おはようございます」「こんにちは」と挨拶を交わし、近隣の人と交流し、見知らぬ人がウロウロしていれば、近隣の人が「おかしいな」と感じる環境を作っておくことが大事です。それがガーデニングの最も高い防犯効果といえます。

ガーデニングをするだけで防犯になる、というのではなく、きれいな庭や花を育てることで、人の目を引き、挨拶を交わしやすい和やかな住宅環境を作ることがひいては防犯につながると言えるでしょう。

防犯を意識したエクステリア&ガーデニング・まとめ

空き巣や泥棒はとにかく一刻も早く家の中に侵入して家内を物色したいわけで、まず庭自体に侵入させない、というのが重要です。それには、物理的に侵入しにくい、逃げにくいエクステリアを作りましょう。

留守中などであれば、近隣の人が不審な人を見かけた時には声をかけられる環境を作っておくことも大事です。侵入されたとしても、その後も侵入者がいやがる工夫など、家内への侵入を試みるまでに時間をかけさせることを考えましょう。そのように容易に侵入できないことが下見で感じられれば、ターゲットにされることはないでしょう。

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