シロアリの兆候、判別法

住まいをシロアリ被害から守るには早期発見が最も大切なことです。とはいえ、近年無料点検と称して床下に潜ったのち、家主の不安をあおるようなことを言って、不必要な契約を結ばせるような悪質な業者の手口が問題になっていることもあり、できれば自分で対処したいと思う方も多いかもしれません。

駆除する段階では、特殊な薬剤を使用するなど、一般の方が行うことは非常に危険な作業になりますので、駆除に関しては専門家に任せるべきです。しかしながら、シロアリの存在を点検し、兆候を感じ取ることは、家の主である一般の方にも可能です。ポイントをおさえて、是非兆候を見逃さないようにしましょう。

シロアリの兆候の発見方法 5つのポイント

1 基礎コンクリートや束、土台に蟻道・蟻土がないかを調べる

光や風を嫌うシロアリは、暗い場所を好みます。ヤマトシロアリやイエシロアリ普通地下を通って建築物に侵入し、その際、基礎コンクリートや束、土台などの表面に土や排泄物でつくった蟻道(ぎどう)を作って移動します。また、シロアリは、光や風を遮断するために木材などの間に蟻土(ぎど)を詰めておく性質があります。

2 羽アリがいないか調べよう

ヤマトシロアリは、3月から5月の昼間、特に午前中に黒色の羽アリが活動します。イエシロアリは、5月から7月の夜、黄褐色の羽アリが電灯に、ダイコクシロアリの羽アリは、5月から8月の夜、電灯に集まり、アメリカカンザイシロアリの羽アリは7月から9月の昼間に飛び立ちます。羽アリを発見したら、建物の周囲・浴室・洗面所・台所の床や柱・床下などを調べてみましょう。

3 建物の異常がないか調べよう

床がプカプカしたり、扉の立て付けが悪くなっていないか。シロアリ被害が激しくなってくると、柱や束が沈下し、歩いた時に何となくやわらかいフワフワした感じを受けるようになったり、襖や障子、雨戸などの立て付けが悪くなります。

4 ハンマーなどで叩いて、空洞音がないかを調べよう

シロアリは木材の柔らかい部分を好んで食べ、硬い部分は食い残す性質があり、表面を残しつつ内部を密かに食害して進んでいきます。

木口面では年輪にそって、同心円状の食痕を示します。柾目面(まさめめん)では直線に沿って食痕が残ります。シロアリ被害が進んだ木材は内部が空洞となりますので、ハンマーで叩くと空洞音がします。空洞音がある場合は、要注意です。また、ドライバーでほじくると、簡単に穴があいたり、壊れたりします。

5 カンザイシロアリの糞がないかを調べよう

カンザイから乾燥した砂粒状の糞が見られる場合は、カンザイシロアリの被害があるということです。アメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリは乾燥した木材だけを食害し、被害材の外に糞を排出します。

シロアリがいそうな場所を自分で点検する手順

確認場所は?

確認すべき場所は「床下」です。多くの家には床下点検口があり、そこから入れると思いますが、なければ和室の畳を上げ、床下をはがし、入り口を作ることになります。

準備する物は?

以下のようなものを用意しましょう。

  • ・懐中電灯またはヘッドライト
  • ・マイナスドライバーもしくは釘抜きなど(木などをつっつくため)
  • ・汚れてもいい服装
  • ・軍手
  • ・マスク
  • ・帽子もしくタオル・手ぬぐいなどのほっかむり
  • ・棒をつけた鏡 (隙間を利用して確認できて便利)
  • ・その他に、デジカメ、温湿度計、鏡、含水率計などがあれば有用です。

注意点

下記の点に十分ご注意ください。

  • ・一人では潜らない。何かあった時のために、入り口に一人待機してもらって行いましょう。
  • ・部屋から部屋へ移動するときは床下で通気口をくぐることがよくあります。通気口が大きい時には問題ないですが、小さい時には無理して抜けなくなる可能性がありますので、無理に通ろうとするのはやめて、別の方向から入るようにしましょう。
  • ・真夏の暑い時間帯は避けましょう。
  • ・反対に寒い時期になるとシロアリの生息の有無が確認できないことが多いので、時期を考えましょう。
  • ・自己責任だと心得ましょう。何かあった場合はすぐに消防署に連絡して救助をためらわないでください。

点検箇所は?

地面の土が湿っていても問題ありませんが、付近の木材にカビや腐朽菌がついていいないか確認します。家内の押し入れがかび臭い場所があるとか、ギシギシという箇所がある場合はその地面の湿気の状態を確認しましょう。

シロアリの生息を確認する方法

ヤマトシロアリの場合、特定の巣を持たず、エサを探しながら活動しているので蟻道があったからといってシロアリが生息しているとは限りません。すでにその場所が放棄されている可能性もあります。また、気温が低い(ヤマトシロアリの場合は約6度以下)とほとんど蟻道の往来はなくなりますので、冬に点検するとシロアリの生息確認は難しいです。

方法としては、蟻道をマイナスドライバーか何かで少しだけ壊します。壊したところの上下をじっと見ていると、シロアリが生息している場合、職蟻もしくは兵蟻が顔を出します。すぐに逃げてしまうのでなるべく衝撃を与えないようにしましょう。(※蟻道はすべて壊さないようにしましょう。のちに専門業者が見た時、シロアリの生息や被害範囲を判断できなくなります。)

次に蟻道付近の木部をドライバーなどでつつくか、ハンマーなどで軽く叩きます。そのとき、木材がフカフカだったり、空洞だった場合はシロアリの仕業の可能性が高いです。さらにその近辺を確認して不自然に土が盛り上がっていたり、木に土がついている場合もシロアリです。近くに蟻道の形跡がないのに木部だけが弱っているようでしたら、腐朽菌(キノコ類)による仕業の可能性もあります。
※床下の他のところでも蟻道を見つけた場合にもこれらと同じように対応します。点検時、地面に木片や段ボールなどが置いたままになっていれば、シロアリの格好の餌になりますので、拾って片付けておきましょう。

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